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心霊

にゃんこさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

白い傘を差し白い服を着た人
長編 2025/07/15 20:38 2,664view

大通りを渡るときに右を見たけど人影はなく、
それ以前に、向こうの路地から大通りへ出ても、横断歩道がないのだから渡れるはずもない。
それでももしかしてと、大通りを渡ってひとつめの路地を横切るときに、勇気を振り絞って右を見てみた。
誰も居なかった。
その後の路地を横切るときも、誰も見えなかった。

当たり前だよなーと落ち着きを取り戻して歩き続け、
この路地を曲がればさぁもうすぐ家だと、いつものところで右へ曲がった。
奥の路地から、白い傘を差した人が出てきた。
え?って思ったときには、白い傘を差した人は路地を曲がってこちらへ歩いてきた。

鳥肌がたった。

やばって思ったときには、もう元きた道を走ってた。
見られないように全力で走って、ひとつ前の路地を曲がった。
なのに、曲がった路地の奥の道から白い傘をさした人が歩いてきた。
道の真ん中まで出てきて、その体勢のまま不自然な感じでグルンッとこちらに向き直って、歩を進めてきた。
寝静まって真っ暗な住宅街のど真ん中で、道が交差する付近には街灯があるものだから、
白い傘と白い服はものすごくはっきり目に映った。
深夜だっていうのに大声が出た。うわぁああ!って感じの。
持ってた傘もコンビニの袋も放り投げて、一目散にその場から走った。

走りながら友人に電話をかけて、寝てるところ起こして、「今から行くから家に入れてくれ」とお願いした。
数時間前に送ったばかりだっていうのに友人はOKしてくれて、助かったと急いで走って向かったのだけれど、

大通りを越えて、コンビニを過ぎ、道路を横断して曲がろうとした先で、
白い傘を差した人が立っているのが見えた。
もうこの時には、何で?としか考えられなくて、曲がるのをやめてそのまま次の路地を目指したんだけど、
そこでも白い傘を差した人が奥の路地から出てきた。
もう嫌だと思いながら道を先に進んでいると、携帯が鳴った。
けれどおかしなことに、着信ではなく不在着信の表示。しかも3件。
時間を確認するともう4時を回っていて、
自分の中での時間はまだ10分程度だと思っていたのに、既に1時間近く経っていた
町から出ていないし、それ以前に、曲がれないからこの通りを抜けていないのに。
住んでるはずの町が知らない町のようで、すごく怖くなった。

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