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心霊

どこかで見た話さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

最後の出席番号
短編 2025/07/04 10:21 2,729view
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彼女は、いつも教室の一番後ろの席にいた。
出席番号は“30番”。
けれど、クラスは29人。名簿にもその番号の生徒はいない。

担任も誰も、30番の存在に触れようとはしなかった。
けれど、毎朝のホームルームでは、30番の席にだけ、プリントが一枚分多く配られていた。

「印刷ミスよ」
そう笑う先生の声が、どこか不自然に揺れていた。

でも、私たちは“知っていた”。
30番の席には、確かに“誰か”がいた。

話しかける子はいない。名前も呼ばれたことがない。

でも、あの席の周囲だけ、空気が冷たく、床が濡れていた。

チョークが勝手に転がる。
黒板の端に「ナミエ」と爪で引っ掻いたような跡が浮かぶ。

ある日、クラスの中で“いじられ役”だった男子が、その席にふざけて座った。

「30番さん、おはようございまーす」
そう笑った次の瞬間、彼の椅子が音もなく倒れた。

それから、異変が始まった。

彼の筆箱が消えた。見つかったときには、水に濡れて、引き裂かれていた。
ノートの文字が勝手に書き換えられていた。「かえして」「かえして」と繰り返し。

ある日、彼はぽつりと呟いた。

「誰もいないのに……毎日、後ろから覗かれてるんだよ……」

そして突然、学校に来なくなった。

その翌日から、30番の席にプリントが再び置かれるようになった。
机には、ぐしゃぐしゃに濡れた彼の筆箱。まるで、戻ってきたように。

次に消えたのは、誰かを陰で笑っていた子。
声が出なくなった。医者でも理由はわからないと言った。

ある女子は、ある日突然、鏡の前で自分の顔を殴り続けた。
止めに入った先生の前で叫んだ。

「30番が……笑ってたの!!」

最後の学期末。
名簿に、新しい名前が赤いインクで書き加えられていた。

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コメント(1)
  • 俺の出席番号29

    2025/07/07/11:34

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