こんな時間に、人様のお宅に電話など出来ません。
母には、いつまでも部屋に戻らず、居間をうろついていたことを咎められ、父からは、子どもの夜ふかしはよくない。早く床につくようにと怒鳴られてしまいました。
Y子ちゃんには、明日学校に行ってから伝えることにしようと、気になりながらも布団に入り、そのまま朝を迎えました。
いつもより早く登校し、Y子ちゃんが来るのを、今か今かと待ち続けましたが、Y子ちゃんはいつまでたっても姿を表しませんでした。今日は、「おしら様」のお祭りのため、欠席するのかもしれない。担任の先生が、何も言わないところをみると、この件に関し、Y子ちゃんと先生との間に暗黙の了解があったのかもしれない。
もし、そうだとしたら、Y子ちゃんにこの窮状を伝えることが出来ない。
困惑した私は軽いパニックに陥り、授業が終わる5時間目まで、心ここにあらずの状態で過ごしました。
どうしよう。
「おしら様」のお祝いイベントに行きたい。
でも、ピアノのレッスンをサボるわけには行かない。
どっちも3時。
迷い続けているうちに、時間だけが過ぎていきました。
困り果てた私は、ピアノのレッスンをサボることを決意しました。
途中、タバコ屋さんの公衆電話から、ピアノの先生に「今日は、風邪を引いたみたいだからお休みします。」と電話をしました。
「まぁ、それはよくないわね。ゆっくり休んでね。お大事に。」
ピアノの先生の体調を気遣う優しい声に、一抹の罪悪感を覚えつつ、そっと受話器を置き、目を上げました。視線の先にあるタバコ屋さんの柱時計は、2時45分を指していました。
ここからだと、鳥居をくぐらずに、Y子ちゃんの家に行くとなると、更に10分以上遅くなってしまいます。約束の3時に間に合う自信がありませんでした。
ですが、鳥居をくぐり、稲荷神社の参道を通り抜けると、徒歩でも5分~7分弱で着くことが出来ます。
猛ダッシュしたら、3分いえ2分半ほどで着けるかもしれない。
どうしよう。
鳥居を前に、昨日のY子ちゃんとの約束を思い出し、もう片方の細くて暗い道に足が向きかけましたが、生い茂る草と鬱蒼とした木々に埋もれた淋しい林道を目の当たりにしたとたん、遅刻をするくらいなら、鳥居をくぐろう。遅刻をするよりはまし。
そう言い聞かせながら、鳥居の下を全速力で走り抜け、参道を通り、神社の境内を突っ切り、やっとY子ちゃんの家の玄関まで辿り着きました。
心臓が早鐘のようにドクドクと拍動しています。
「ごめんください。」
そういって、玄関の扉を開けようと引き戸に手をかけましたが、いつもは簡単に開く玄関の扉が、今日に限って、なぜかびくとも動きません。
呼吸を整えながら、再度、
「すみません。今日、お約束していた〇〇です。Y子ちゃん。お呼ばれした〇〇です。」
ありったけの大きな声を挙げて、呼びかけてみましたが、返事がありません。
お祝いごとのイベントがあるというのに、あたりはしんと静まり返り、咳(しわぶき)ひとつ聞こえてこないのです。
私は、一度も足を踏み入れたことのない裏木戸の方へと歩いてみることにしました。
板張りの広い縁側を伝い、大きな中庭を通ると、程なくして家の全容が姿を表しました。
























怖い
すみません。作者から一言お詫びを申し上げます。一度、アップしましたが、読み直してみると誤字脱字、表現の誤りが多く、一部もしくは数か所訂正させていただきました。再アップいたします。
ご笑覧いただけましたら幸に存じます。
貴重な体験でしたね。
怖いというよりちょっと感動した。
すみません
一時間後の後が語になってましたよ
あと面白かったです
*作者より
長編、しかもかなりひと世代前のお話。月の後半に投稿したにも関わらず、こんなに多くの方に読んでいただけるなんて恐悦至極にございます。
何度か手直しさせていただきましたこと、ところどころわかりにくかった箇所や読みにくい箇所など申し訳ございませんでした。今後、精進してまいりますので、お許しいただきたく存じます。
先月後半は、皆様のコメントに支えられ、励まされ、また筆を執ってみようかなと思いも新たにすることが出来ました。
心より感謝申し上げます。
お読みいただいた皆様ありがとうございました。
あまり閲覧されないようでしたら、筆を折る覚悟でいました。
でも、心機一転。新たな気持で新たなペンネームでこれからも書き続けたいと思います。
遅筆ではございますが、投稿した暁には、ご笑覧いただけましたら幸いに存じます。
<一時間後の後が語になってましたよ
大変申し訳ございませんでした。ご指摘ありがとうございます。
早急に訂正いたします。はて?どのあたりだったでしょうか・・・。^^; 今から、探します。
誤字脱字、入力ミスに変換ミスは、何年経っても治りませんね。これは、年齢と言うよりは、性格的なものかもしれません。これからは、極力そのようなことのないように慎重に投稿いたします。
また、間違いがありましたら、いつでもご指摘くださいませ。
<あと面白かったです
嬉しいお言葉感謝いたします。
これからも、精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
ご指摘いただきました箇所、1時間語→1時間後に 訂正いたしました。
ありがとうございました。