私には、霊感はありません。
過去、幽霊を見たことも、怪異と遭遇したこともありません。
ただ、これから話す体験談は、そんな私が、生涯で、たった一度の おそらく、最初で最後の不思議な出来事です。
拙作ではございますが、ご覧いただけましたら幸に存じます。
私の近所にY子ちゃんという同い年のお友達がいました。
Y子ちゃんは、三人姉妹の末っ子で、Y子ちゃんには、3つ違いのA子さんと2つ違いのT子さんというお姉さんが二人いました。
Y子ちゃんは、色白でほほに小さなそばかすが並ぶ、小動物のような愛らしい顔をした女の子でした。背丈は、同年代の子どもたちと比べても、二回りほど小さく、今にも折れそうなくらい華奢な体型をしていました。
毎日、登校してくるのですが、授業中は、ぼんやり外を眺めたり、教室内をふらふらと歩き回ったり、終始退屈そうにしていました。
目立たないというよりは、影が薄いといったらよいのでしょうか。
Y子ちゃんが、突然、ふらりと教室から出ていってしまっても、同級生はおろか、担任の先生ですら、気に止める様子もなく、時は過ぎていきました。
私や他の同級生たちは、ちょっとよそ見をしただけでも、目ざとく見つけられ叱責されるのに。
Y子ちゃんだけが、どうして咎められないの?
幼かった私は、そんなY子ちゃんが、少し羨ましく思いました。
Y子ちゃんは、いつも穏やかな笑みを浮かべていました。私は、Y子ちゃんが泣いたり怒ったりといった感情を露わにするのを見たことがありません。
乱暴な男の子に足を踏まれても、嫌な顔一つせず、文句を言うこともせず、楽しそうに遊び続けているのです。
公園で遊具の順番待ちをしている時、自分より小さい子に滑り台やブランコを横取りされても、「いいよ。私は、なわとびで遊ぶから。」と、すんなりと譲ってしまう お人好しでもありました。
「Y子ちゃん、優しくて おしとやかなのはいいけれど、小さい子には、順番を、ちゃーんと守らせないとダメだよ。」
そう文句を言う私に対し、Y子ちゃんは、にこにこしながら、
「いいのいいの。私はいいの。今じゃなくても遊べるから。」
と、鷹揚に話すのでした。世知がない世の中にあって、どこかホッとさせる雰囲気を醸し出しているY子ちゃん。私は、そんなY子ちゃんが大好きでした。
ただ、2つほど、どうしても理解できないことがありました。
1つは、Y子ちゃんのお家のそばには、古くから地元の人達から大切に祀られてきた「稲荷神社」があるのですが、神社の境内にほど近い場所にあるというのに、なぜか、Y子ちゃんのご家族(ご両親、お祖父様、お祖母様を含む)全員が、神社の参道とは別の、鬱蒼とした雑木林の間にある細く暗い道を生活道路として利用していることでした。
神社の鳥居をくぐり、参道を通らないと、大きく迂回することになりますし、時間も10分程度遅くなってしまいます。手入れが行き届いた参道ではなく、どうして、わざわざそんな荒れた道を通るのか、幼い私には、たいそう不思議でなりませんでした。
それとなく、Y子ちゃんに尋ねてみるのですが、
「う~ん、多分、話してもわからないと思う。」
と毎回、はぐらかされてしまうのでした。
もうひとつの気がかりは、幼い私にとって、たいそう辛く悲しいことでもありました。
それは、私の両親や祖母、年の離れた兄までが、Y子ちゃんとY子ちゃんの二人のお姉さんと仲良くするのを快く思っていないことでした。
優しく物静かで愛らしいY子ちゃんと、素封家にも関わらず、質素で慎ましく暮らしているご一家を、なぜ母や祖母が忌み嫌うのか、正直理解できませんでした。
怖い
すみません。作者から一言お詫びを申し上げます。一度、アップしましたが、読み直してみると誤字脱字、表現の誤りが多く、一部もしくは数か所訂正させていただきました。再アップいたします。
ご笑覧いただけましたら幸に存じます。
貴重な体験でしたね。
怖いというよりちょっと感動した。