第一章 深夜の訪問者
大学生の田中翔太は、一人暮らしを始めて半年が経っていた。
小さなアパートの一室で、バイトと学業に追われる日々。
夜更かしの習慣がつき、寝るのはいつも深夜だった。
その夜も、翔太はパソコンで映画を観ていた。
時計を見ると午前2時。そろそろ寝ようかと画面を閉じた時――
「コンコン」
玄関のドアを叩く音がした。
こんな時間に誰だ? 間違いか?
インターホンを確認するが、モニターには誰も映っていない。
ドアスコープを覗いても、そこには「何もいない」。
怖くなった翔太は、鍵を二重にかけ、布団に潜り込んだ。
だが、数分後――
「コンコン」
また、ノックの音。
ぞわり、と全身の毛が逆立つ。
さっきよりも大きな音。
しかも、ドアではなく……窓から聞こえてくる。
3階の部屋なのに?
そんな馬鹿な。
震えながらカーテンをそっと開けた。
そこには、何もない。
安心しかけた瞬間――
カーテン越しに、誰かの顔があった。
叫び声すら出せず、翔太は凍りついた。
青白い顔、歪んだ笑み。
だが、目が合った途端、その顔はスーッと消えた。
恐怖のあまり、朝まで明かりをつけたまま過ごした。
翌朝、勇気を出して管理人に相談すると、
「ああ……この部屋、以前の住人も同じことを言ってたよ」
「でも、不思議なんだ。君の部屋の窓、外に足場なんてないんだよ」
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