私が20代前半だった頃の話です。
地方都市住まいなので夜になると飲みに行ったりカラオケに行ったりするくらいしか遊ぶ場所もなく、お金もなかったので日々暇を持て余していました。
ただ、今よりもだいぶガソリンが安かった時代なので、仲のいい友人とドライブしながらただ喋りまくっていることが多かったです。。
車通りの多い街中を避け、少し離れた海沿いや外灯の少ない山道を夜な夜な走っていました。
その中でもよく行った山には隣県とを結ぶ峠道があり、昔は夜中になると多くの配送トラックが通っていたそうです。
楽に越境できる高速道路が出来てからは、危険な峠道を走るトラックも減ったため、ドライブをするのに持って来いの道となりました。
また、峠道を多くのトラックが通らなくなったのは、その道を通ると何か見てはいけないものを見てしまうからだという噂もありました。
血気盛ん…だった訳ではありませんが、若気の至りというか、暇すぎた私と友人は怖いもの見たさもあり、ちょくちょくその峠道へ足を延ばしたのです。
その日も私の運転で行きはよいよいと楽しくおしゃべりをしながら山を登り、時間を見ながらある程度のところでUターンして下りました。
外灯など一つもなく、車のライトを消してしまえば暗闇に包まれる山道でしたが話に花が咲き気にはなりませんでした。
下りも半分を過ぎた頃だったでしょうか、いきなり友人が話すのを止めて黙り込みました。
会話の途中だったので「どうした?」と助手席へ視線を向けようとしたその時、ルームミラーに吊るしてあった交通安全のお守りがグルグルと回っていたのです。
蒸し暑かったので窓は締め切ってエアコンをつけていたのですが、風が当たる位置でもないのに。
風だとしても円を描いて回るのはおかしいはず。
少し怖くなった私は「ねえ!ちょっと!これ!!」と興奮気味に声を上げました。
しかし友人は「ゴメン。あとで話す。」と神妙な声で言ったまままっすぐ前を見据え、どんなに声を掛けても応えず、小さく首を振るばかりでした。
友人の行動にますます怖さが増した私は1人で10分ほど無理矢理テンション高く喋り続けました。
少しアクセルを強く踏んでいたかもしれません。
外灯が増えてきた辺りにコンビニがあったので入り、店舗正面の一番明るいところに車を止めるとホッと息をつきました。
お守りの回転も止まっています。
友人はまだ何かに怯えていたようで、周りをキョロキョロ見まわし、車を降りてから大きく深呼吸をしていました。
私も車から降りると「あとで話すって言ってたけど何だったの?」と尋ねました。
友人はチラッと車を一瞥してから「実は…」と話してくれました。
「何気なくサイドミラーを見たら真っ白いおばあさんの顔が映ってたんだ。こちらをジッと睨みつけていてさ、視線を逸らしたら車内ではお守りが回ってて…怖くて怖くてただ前だけ向いて心の中で『消えろ…消えろ…』って唱えてた。その場で話して事故られても嫌だから黙ってたんだ。」と…。
話を聞いて真夏だというのにゾクゾクと鳥肌が立ち、運転中に伝えないでいてくれた友人に感謝しました。
そんなことを聞いていたら、動揺して本当に事故っていたかもしれません。
その日以来、夜のドライブで山へ行く事は止めました。


























二十代前半もやれる「あまり金のかからない暇潰し」には「プラモデル」というものもあってだな、与田祐希やら白石聖やらのドラマや配信等のネタや「脳トレ」としても使われてるが?(-ω- ?)かなりのド田舎でも玩具や模型ぐらいはなんとか買えるし