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呪い・祟り

どこかで見た話さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

静かな家
短編 2025/04/16 13:04 528view

大学を卒業してから、俺は実家を出て一人暮らしを始めた。
会社までは電車で30分。駅から歩いて10分の築浅マンション。
オートロック、防犯カメラ、宅配ボックス完備。
安心できる、自分だけの場所。

最初の一ヶ月は、何も問題なかった。

夜は静かで、隣人の物音すら聞こえない。
毎朝決まった時間に起きて、仕事に行って、帰って、シャワーを浴びて寝る。
その繰り返し。

ある夜、ベッドに入って目を閉じた瞬間――天井から「コツン」という音がした。

最初は気にしなかった。木材の軋みとか、暖房の熱で伸び縮みした音だろうと思ってた。

でも次の夜も、また同じ時間に、同じ音がした。
天井の、同じ位置から。

三日目の夜は、その「コツン」が三回鳴った。
リズムのような、ノックのような。

気味が悪くなって、スマホで録音を始めた。
次の日、録音を聞いてみると、音がはっきり入っていた。
「コツン、コツン、コツン…」そして、微かに女の声が入っていた。

「…ここ、開けて」

俺はぞっとして、即座に天井裏を管理会社に調べてもらった。
でも誰もいなかった。

ハクビシンか何かの仕業だろうって、軽く流された。

それから数日、音は止んだ。
でもその代わりに、寝ていると、足元に視線を感じるようになった。

夜中にふと目が覚めると、ベッドの端、足元の暗がりに「誰かが座っている」気配がする。

気のせいだ。そう思って、寝たふりをしていた。

でもある日、寝ぼけた状態でスマホを手に取って前を照らすと――
そこに「顔」があった。
うつむいて、じっと俺を見ていた。

次の瞬間、スマホが勝手に消えた。

朝まで、動けなかった。

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