「ハイ・・・」
3人は神妙な面持ちになり、テーブルに目をやる。
ボクは彼らの目の前で例のラブレターを束ねている赤い紐にハサミを入れた。
「あっ、軽くなった」
マリーさんが言う。どうやら封印が解けたようだ。
「それじゃ皆さん、そろそろ旅立ちのお時間です。天国でお幸せに」
除霊師がそういうと、なにか指を空中で複雑に切り、呪文のようなものを唱えだし。
そしてそれを合図に、室内にどこからともなく光と風が舞いだした。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
口々にお礼を言い、光となりながらゆっくりと天に登って行く。
平原リリが最後にこう言って去って行った。
「また来るよ」
「あはは」少しひきつってしまった。
彼女の「また来るよ」は冗談に聞こえない。
なにか暖かい風に包まれて、まるで夢のような時間が過ぎ去った。
「・・・そうだ、警察呼ばなくっちゃ。シェルターに遺体が残ったままだ!」
「それじゃ旦那さん、私はこれで。いや~何年かぶりに泣かされちゃいましたよ」
「あぁ、そうだ、お代はやっぱり25万円くらいかかるんですかね」
「何言ってるんですか、ひとり25万円ですよ~」
「えええええーーー!!」
「なんつって! えへへ、今夜はお代はけっこうですよ。イイもん聴かせてもらいました」
「そ、そうですか・・・助かりました」 (;´∀`)
ニンニンも去っていった。悪い人ではなかったようだ。
さて、そこからはまた大変だった。多くの警察車両に取り囲まれ、マスコミも大挙して押し寄せ、まぶしい照明で照らすものだからご近所迷惑も甚だしい。
「こりゃー明日は菓子折り持ってご近所まわりしなくちゃな」
そう思っていた。翌日にはいろいろなところから電話もあった。
取材もあったが、まさか幽霊の話をするわけにも行かず、困ったものである。
この家をボクに売ってくれた不動産屋の社長からも電話があった。
売った時より500万円多く出すからこの家を買い戻させてくれというのである。
核シェルター付きだとニュースで流れたから欲が湧いたのかな?


























kanaです。
この作品は2022年の春頃に書いたマリーさんシリーズの4編をまとめて、加筆修正してまとめた完全版として書き上げたものです。長編18ページとなりましたが、面白く読めると思いますので、ぜひお読みください。後半に出てくるニンニンこと、除霊師・忍足 忍(オシダリ シノブ)は、朽屋瑠子シリーズの「赤騎士事件」にも朽屋の同僚として登場する除霊師です。スピンオフ参加です。お楽しみください。
読んでいる途中で感情移入をしたようで、涙が止まりませんでした。
良い話や
すごい感動しました?
最高です!
※勲章授与のシーンで脱字がありましたので修正しました。
kanaです。
劇中歌として『ホームにて』と『時はながれて』をマリーさんが歌っていますので、
よろしければそれを聞きながら読んでいただくと、臨場感も湧くと思います。
ちなみに、検索をかけると『時はながれて』と同名のタイトルの楽曲を複数の方が歌われているようで、もしかしたら違う曲を聴く可能性もありますが(笑)、マリーさんが歌っているのはあくまでも「某有名女性フォークシンガー」が歌われている曲です。失恋の歌が多い方ですよね。
では、お楽しみください。
↑↑感動したというコメントをいただいて大変ありがたいです。あと、怖くないのにこわいねボタン押してくださる方、ありがとうございます。
みなさんはどのシーンでほろりと来ましたか?
怖いの苦手な方も、ぜひお楽しみください。
さすがです。
本を買ってみたい
ダメだ、会社の休み時間に読もうとしたけど、読んだら会社で泣きそうになった。これは帰ってからじっくり読ませてもらいます。あぶない
とてもいい話で感動しました。これからもがんばってください。
感動した
感動した。
素晴らしい話しで読ませて頂きました。ありがとうございます
感動
kanaです。皆様コメントありがとうございます。最近Youtubeでも朗読してくれる方が複数おり、大変感謝しています。だってこんなに長いのに。一度朗読したら1時間はかかると思う。自分で朗読すればわかるけど、これってすごい労力ですよね。ありがたいです。
そして正直言うと、このマリーさんのお話は自分的には集大成な気がするので、これを書けたらもう怪談は引退してもいいかな~ぐらいに思ってた作品なので、読まれるとなおさらうれしいですね。
後、どこかのコメントで「テレビドラマ化してほしい」なんてお言葉もいただきました。
それ、できたらスゴイですよねぇ~。夢です。奇々怪々さんの運営でテレビ局にかけあってくれないかなぁ~。テレビ番組で「奇々怪々」、いいよねぇ~。・・・舞台でもいいなぁ~どこかにこれやりたい劇団はいませんか~~?
幽霊めっちゃいいやつ」