俺、小学校低学年頃に海へ泳ぎに行ったんだ
その時の、今でも理解できない話。
その日は暑かったけど天気が良く、
俺は海の浅い所で楽しんでいた。
途中で親父がトイレに行って、
お袋は飲み物を買いに俺を少しの間
置いて行ったんだ。
「ママが帰ってくるまで
海はあんまり入ったらあかんよ」
「え〜、はよかえってきてや〜」
俺は海を眺めながらお袋を待っていた。
「ねぇ、今一人?」
突然後ろから話しかけられた。
振り向くと綺麗なお姉さんがいた。
「うん」
「ママとパパは?」
「とーちゃんはおしっこ!かぁちゃんは
ジュース買いに行ったよ!」
俺は警戒することもなく普通にそう言った。
「今日暑いね〜、海入らないの?」
「かぁちゃんが帰ってくるまで
はいったらあかんってー!」
「そっかぁ、お姉さんと一緒に
海入らない?お姉さん泳げるよ」
「泳げるん!?ええよ!一緒に入ろ!」
俺はそのお姉さんと海に入った
確かにお姉さんは泳ぐのが上手く
浮き輪でぷかぷか浮いてる俺を引っ張って
楽しく遊んでくれた。
俺はそのお姉さんが大好きになって、
太陽が落ちそうな時まで遊び続けた
「いっぱい遊んだね〜」
「うん!めっちゃ楽しかった!」
「そろそろ夜だし、銭湯とか行ったりしないの?」
「あ、確かに、いつ銭湯行くんやろ?
俺銭湯も楽しみやねん!」
「お姉さんもそろそろお風呂入りたいし
一緒に行く?」
「行きたい!でも俺お金持ってないねん」
「お姉さんがお金は払ってあげるから
大丈夫だよ、ほら行こう」
「うん!ありがとうねーちゃん!」
銭湯へ足を運ぶ、変な気持ちとかはなく
ただ単に、「絶対風呂の中で泳ご!」
とか、ガキっぽいことしか考えてなかった。
でも脱衣所まで行く頃かな、そこらへんから
記憶が途切れ途切れになってしまい
しまいには倒れ込んでしまった。
「あ…れ…?なん…か、へ…ん…」
俺は途切れる意識の中。お姉さんに必死に
助けを求めた。だがお姉さんは
「うぼーーー、ううううーん、うーうー、
わーーーあーーーーうううーうーぼーー」
と意味もわからない唸り声を出し
頭を左右に揺らし続けて俺を見つめていた。
眠るように意識が飛んでしまう
だがすぐに俺は目が覚めた。
「……あれ…?ここどこ…?痛!」
俺は鋭い痛みに手を見た
「な、なにこれ…」
俺の爪はボロボロで、
中には血と土が入り込んでいた。
「ゆうたー!!!」
どこからか親の声が聞こえる、
ゆうた、俺の名前を呼んでいる
「ゆうた!!ゆうた!」
親は俺を見つけた。どうやら俺は
行方不明だったらしい。
「良かった…良かった…置いていってごめんなぁ」
親父とお袋も泣いていて、俺はわけもわからず
ただ汚れ血塗れになった指を見ていた。
怖いよ。