過去2回、アメリカに現われたUMAたちは表面をバリアのようなものに覆われていた。
実際にはバリアというよりも次元の違う境界が彼らを覆っており、通常兵器では捻じ曲げられた次元を通って、すべて素通りしていくのだ。だが、朽屋の魔弾はその次元の境界を消滅させ、敵本体を現世に露出させることができる。米軍はその力の謎の解明にまではまだ至っていない。
魔弾となったMk54がまっすぐリヴァイアサンに向かう。
命中するか、と思われたその時・・・リヴァイアサンの身体はまるでドーナツのように真ん中にぽっかりと空間が現れ、魚雷はその穴をスーッと行ってしまった。
「はぁ??ナニアレ・・・避けられた!?」その様子を目撃した朽屋は、あることを考えた。
小さなイワシたちは、群れで泳ぐときに一塊となって巨大な魚のようになって泳ぐ。そこにサメ等の捕食者が現れると、サメのいる所のイワシたちが逃げて、そこだけぽっかりと穴が空いたように見える。今のリヴァイアサンはそれにそっくりなのだ。
「もしかして、リヴァイアサンは1匹じゃないのかな・・・」
朽屋は顔の前で指を8の字に回しながら、魚雷を念のチカラで操作した。
「1番魚雷、回頭・・・もう一度チャレンジ」
魚雷は円を描くように旋回し、もう一度リヴァイアサンに、今度は背後から接近した。
「2番魚雷、発射」つづけて魔弾となった2発目の魚雷を発射。
リヴァイアサンを挟み撃ちだ。
再びドーナツ状に広がって魚雷をやりすごそうとするリヴァイアサンだったが、その直後
「1番、2番、・・・自爆!」朽屋の命令で魚雷が爆発する。
炸薬量を減らしているのでそれほど大きな爆発ではなかったが、朽屋の魔弾の力を突き刺すには十分だった。
リヴァイアサンの身体は一瞬爆発によって大きく膨らみ、真っ二つに分裂したように見えた。が、またすぐ元の大きなひとつの体に戻ってしまった。しかし、効果は表れ始めている。
体表面全体にわたって、まるでスチールウールを燃やした時のような、オレンジ色の光がチリチリと走っている。
朽屋はいったんマンタレイを浮上させた。
「こちらマーベリック、第一次攻撃成功、第二次攻撃に移れ」
第二次攻撃は2機のヘリから、計4発の魚雷を撃ちこむ計画だった。
次元の境界が除去された今ならば、通常兵器が通用するはずである。
だが、ここで大きな誤算が生じた。
リヴァイアサンは体を短く縮めながら、逆に腕を大きく伸ばし、朽屋のマンタレイを鷲掴みにしてきたのだ。ものすごい速度。泳ぐよりも早く腕だけを伸ばしてきたため、朽屋は回避行動もとれず、リヴァイアサンの掌中に収まってしまった。
今、第二次攻撃を加えると朽屋の乗ったマンタレイをも撃沈してしまうかもしれない。
攻撃は一時中止された。
(・・・早く、ここから逃げろ・・・)
(・・・その潜水艇から逃げろ・・・)
(・・・急げ、ハッチを開けろ・・・)
(・・・苦しい、息ができない・・・)
(・・・無駄だ、逃げられない・・・)
























kanaです。久しぶりの「朽屋瑠子」シリーズです。
このシリーズはあちこちにいろんなオマージュやらなんやら、過去作でも詳しく説明してないけど
知ってる人なら「あぁ、あれか?」と思うようなネタを散りばめていますので
そんなところもお楽しみください。
ちなみに、毎回出て来て朽屋に「ユー、〇〇へ、トベ!!」とだけ言って去っていく米兵のセリフは
「王立宇宙軍-オネアミス-の翼」で主人公のシロツグに対して「あ~~、なんて・・・そうだ、飛べ!!」とイキナリ突拍子もないことを言ってくる将軍をオマージュしています。
是非とも、ムー本誌に書いて送って欲しい!
大昔、漫画を書いてムーに送ってた人が、本誌に取り上げられたこともあるし、ルコも取り上げて貰って欲しい!
読み物として毎回楽しく拝見してます
朽屋さん、やってますねぇコレは。
待ってました!
クッチャルコさん首を長くして待ってました〜wこれからもどんどんお願いします♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪僕の中では今1番の最高の小説です!!
↑うれしいコメントの数々ありがとうございます。
自分で書いてて一番楽しい、それが朽屋瑠子シリーズw
怪談としてはどーよ、って話もありそうですが、今回は都市伝説ですから!!!
話によってジャンルも買えてます。
それにしてもですよ、1月19日に書いたコメントが公開されたのが1月28日って、
運営様、もう少しなんとかなりませんかね?
この前このシリーズ一気読みしましたけどめちゃくちゃ面白かったです!!
これからも期待してます(^ ^)
kanaです。↑コメントありがとうございます。一気読みしていただいて最高にうれしいです。
楽しんでいただいてよかったです。
これは公式に作品化していくべきレベルだと思う。
小説出てます?