「作戦上、ナイフなんて使わないとは思いますが、イザ水中でイチバン強いのは、やっぱりナイフですから。持ってて損はないと思いますよ」とスティングレイ。
「確かに、そうかもですね。ありがたくお借りします」
そう言って朽屋は太ももにナイフをセットした。
やがて最新の潜水装備を装着した朽屋が、マンタレイに乗り込む。
「AIシステム、チェックオールグリーン」
「モーター出力、異常なし」
「クレーン出せ!」
その時、何かが船体にぶつかるような大きな振動・・・。
クレーンに吊るされたマンタレイもゆらゆらと大きく揺れる。
艦内に非常事態を知らせるベルとサイレンの音が鳴り響き、赤色灯が灯った。
〈全員戦闘配置!!・・・これは訓練ではない!〉
艦内放送が響き渡る。
朽屋が無線で叫ぶ「出して!早く!!」
クレーンのワイヤが伸び、マンタレイが着水する。
その時、朽屋はコックピット内から恐ろしいものを見た。
ほんの100メートルほど先に、まるで氷山のように真っ白で巨大な人間の形をしたモノが
海面から顔を出していたのである。顔と言ってものっぺらぼうで、輪郭のようなものがかろうじて見えるだけ。姿かたちは人間のようだが、それはクジラのような大きさであった。
「あ、あれ・・・ニンゲンじゃないの!?」朽屋は動揺しながらそう叫んだ。
ニンゲン、またの名をヒトガタとも呼ばれるUMA。南極や北極といった極地での目撃例のある巨大UMAであるが、それとそっくりなものが目の前にいるのだ。
未確認生物の生態など判るはずもない。極地に現われるニンゲンと同一のものなのかも調べる術はない。ただ、かつて米海軍の原潜「サンフランシスコ」が戦闘時に回収した「音紋」と、今目の前にいる化け物の「音紋」が一致している。同じものはないと言われる固有周波数だ。間違いない。米海軍が追っていたコードネーム「リヴァイアサン」は、すぐ目の前にいるのだ。
上層甲板に移動したスティングレイ一等兵曹ら一部の兵士がライフルによる射撃を繰り返してみたが、まるで霧に向かって撃っているように、なんの手ごたえもなくすり抜けていく。
幽霊や、幻に向けて撃ってもなんの意味もないのと同じであった。
上層甲板からはヘリも出撃し、上空を旋回している。
が、突然リヴァイアサンは海に潜り始めた。
水中を潜航している朽屋に向かっているようだ。
朽屋はできるだけリヴァイアサンをミゲル・キースから遠ざけるように、水中でヒラヒラと舞って注意を引き付けようとしていた。
「イチかバチか、一気に先制攻撃で行くか」
マンタレイは水中でまるで戦闘機のようなターンを行った。通常の潜水艇では絶対無理なマニューバだ。そして追ってくるリヴァイアサンの方へ向き直った。
「一番魚雷、発射!」 マンタレイからMk54が放たれる。ただの魚雷ではない。
朽屋の特殊能力により、魔力と霊力が込められた「魔弾」と化した魚雷だ。
ただし、炸薬量は必要最小限まで減らされている。






















kanaです。久しぶりの「朽屋瑠子」シリーズです。
このシリーズはあちこちにいろんなオマージュやらなんやら、過去作でも詳しく説明してないけど
知ってる人なら「あぁ、あれか?」と思うようなネタを散りばめていますので
そんなところもお楽しみください。
ちなみに、毎回出て来て朽屋に「ユー、〇〇へ、トベ!!」とだけ言って去っていく米兵のセリフは
「王立宇宙軍-オネアミス-の翼」で主人公のシロツグに対して「あ~~、なんて・・・そうだ、飛べ!!」とイキナリ突拍子もないことを言ってくる将軍をオマージュしています。
是非とも、ムー本誌に書いて送って欲しい!
大昔、漫画を書いてムーに送ってた人が、本誌に取り上げられたこともあるし、ルコも取り上げて貰って欲しい!
読み物として毎回楽しく拝見してます
朽屋さん、やってますねぇコレは。
待ってました!
クッチャルコさん首を長くして待ってました〜wこれからもどんどんお願いします♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪僕の中では今1番の最高の小説です!!
↑うれしいコメントの数々ありがとうございます。
自分で書いてて一番楽しい、それが朽屋瑠子シリーズw
怪談としてはどーよ、って話もありそうですが、今回は都市伝説ですから!!!
話によってジャンルも買えてます。
それにしてもですよ、1月19日に書いたコメントが公開されたのが1月28日って、
運営様、もう少しなんとかなりませんかね?
この前このシリーズ一気読みしましたけどめちゃくちゃ面白かったです!!
これからも期待してます(^ ^)
kanaです。↑コメントありがとうございます。一気読みしていただいて最高にうれしいです。
楽しんでいただいてよかったです。
これは公式に作品化していくべきレベルだと思う。
小説出てます?