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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

後悔の先に
短編 2025/01/12 00:26 900view

誰もが、今まで生きてきた人生の中で後悔というものを経験してきてると思う。私もその中の1人。たくさんの後悔を経験してきたが特に私の場合は中学生時代に、
「あーしとけばよかったな、こう言っておけばよかったな。」と強く思うことがある。
もし、その時に現在の自分が思っているような行動をしていれば違った未来が待っていたかもしれないと思う。
そのためか、睡眠中の夢も中学生時代の夢が多い。
過去に戻ることは出来ないが、夢の中では過去の世界に戻り楽しく過ごしている。
しかし、ある時から奇妙なことが起こり始めた。
それまでは中学生時代に所属していたサッカーをしていたり、フットサルをしたり、校舎内で遊んでいる夢などを見ていた。
そして、ある時から夢の中で時間が進み始めた。
中学校生活を終え、卒業し高校へ進学した。
夢の中で高校へ進学してからは中学校時代の夢を見ることが格段に減った。
毎日、夢を見る訳ではないので長い年月をかけて夢の中の時間が進んでいく。

高校生活を終え、卒業し大学へ進学した。
夢の中では少しずつだが確実に時間は進んでいる。
そして、私はある疑問が浮かんだ。
「このまま夢の中の時間が進み、現実世界の時間に追いついたらどうなるのか?」
そんなことを考え始めてから過去の夢を見るのが怖くなってきた。
今までは戻りたかった中学生時代の夢を見れて楽しかったが徐々に時間が進むにつれ、確実に現実世界の時間に追いつきつつある。

そして、夢の中の時間では大学を卒業し就職したところまできた。
会社の先輩や後輩、その当時の彼女との思い出。
現実世界では20代後半の頃の思い出。
夢の中の時間があと15年ほど進むと現実の時間に追いついてしまう。
私は、「別に夢の中の時間が追いついても何もないだろう。」と思うようにした。

夢の中で5年、10年と時間が進み現実世界の時間にもう少しで追いつくところまできた。
その頃には中学生時代の夢は全く見なくなっていた。そして、私は迫り来る夢の中の時間に怯え睡眠時間が減っていった。

そして、とうとう現実世界の時間と夢の中の時間がほぼ同じくらいになった。
しかし、特に変わったことはなかった。
「やっぱり、気にしすぎか…よかった。」と安心して日常を送ることができた。

しかし、ある日突然夢の中の時間が進み始めた。
夢の中の時間では、子供が成長した姿や私達夫婦の姿が現実世界と変わってしまっている。
夢の中の時間は進み続け、両親の他界、子供や妻とのケンカなど、あまり良くない出来事の夢を見てしまった。特に気にもしていなかったが、しばらくして両親が病気で他界、子供が反抗期になり将来のことでの衝突、妻とは些細なことからのケンカと夢で見た内容に似ていることが起きてきた。
「もしかして、予知夢ってやつか?随分、身近なことの予知夢だな…」と私は勝手な解釈をしてしまっていた。
「この先のこともわかるかもしれない。」
そう思った私は現実世界の時間を過ぎて進んでいる世界の夢を見たらなるべく記録しておくことにした。そうする事によって未来への対策として役立てようとした。 
後悔してきたことを引きづり生きてきた私が未来のことを気にして生活するようになりどこか前向きな感じがして心地よかった。

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