テーブルの上にはカップ麺や袋菓子の食べ残し、
カーペットにはゴミが散らばっている。
人の気配はないようだ。
なぜだろう心臓の心拍数は徐々にテンポを上げだしていた。
誰か、誰かいないんですか?
俺は声を掛けながら室内を横切り和室との境にある襖の取っ手に手を掛けると、ゆっくり開いていく。
とたんに数匹のハエが忙しなく飛び出してきた。
サッと生ゴミのような匂いが鼻をつく。
喉裏に激しい心臓の鼓動を感じる。
半分まで開かれた襖から漏れた明かりが、畳の間を浮かび上がらせていた。
特にこれといった調度品はなく、ガランとした印象だ。
俺は「浅川さん?」と言いながら中に踏み込む。
そしてアッと思わず声が漏れた。
右手奥の壁に沿うように布団が敷かれており、そこに人が横たわっている。
その上には何だろうか?
大量の写真が覆うように置かれていた。
掛け布団の上にも横たわる人の顔の上までも。
その上の空中をハエたちがブンブンと忙しなく飛び交っている。
俺は近付くと数枚を手に取り、一つ一つ見てみた。
その全てがさっき家の郵便受けに入っていた写真と同じような、布団に横たわるロイドくんの母親の写真だ。
恐る恐る顔の上の写真を全て取ってみた。
うわっ!
一瞬で背筋が凍り後方にのけ反る。
その白髪の毛は半分以上抜け落ち顔には肉付きがなくなり、目は洞穴のように真っ黒で呆けたようにぽっかり口を開いていた。
両膝が小刻みに震えているのが分かる。
しばらくそこで呆然と立ち尽くしていたのだが、ふと思った。
ロイドくんはどこにいったんだ?
辺りを見回すが人の気配はない。
























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