有料テレビ

突然爆竹の破裂音のような音が響き渡る。

何事か？と飛び起きると電気を点け、部屋を出てから廊下に立った。

すると

パァン！！

また破裂音が響く。

どうやら一階のようだ。

他の数人の宿泊客も廊下に出てきた。

そして廊下の先に視線をやった途端、ドキリとする。

階段の上リ口辺りから黒煙が起ち上がってきていた。

━え！もしかして火事？

階段の踊り場まで行き一階へと下りてみると、カウンター辺りから炎が上がっているのが見える。

さらに玄関口に男が一人倒れていた。
よく見ると男は制服姿で、どうやら警察官のようだ。

その傍らに裸の女が立っていた。

血まみれのその女は昨晩部屋で見た女のようだ。

そしてその全身は炎の目映さで朱色に染まっていた。

呆然としながらその場に立ち尽くしていると誰かが肩を叩き、
「あんた、こんなとこに立ってると焼け死ぬぞ」と怒鳴った。

俺はハッとして我を取り戻すと、慌てて外に出る。

それからは消防車が到着し、隊員たちがテキパキ鎮火作業を行っていた。

※※※※※※※※※※

鎮火が終わる頃にはもう夜が明けていた。

建物は一階の一部分が焼けただけで済んだ。