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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

有料テレビ
長編 2025/01/01 05:55 4,554view
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焼け跡からは二人の遺体が発見され、一人は旅館の主人、もう一人は駐在所の警察官だったという。

警察の現場検証で分かったのは、深夜に近所の駐在所の警察官が旅館に立ち寄り玄関口で主人を射殺し火を放つと、自らも頭を打ち亡くなったということだった。

その時にたまたま現場に居合わせた宿泊客の話によると、玄関から入ってきた警察官は虚ろな目をしていてまるで夢遊病者のようだったという。

無言でいきなり主人に発砲すると、あらかじめ持参していた灯油を辺りに撒き散らしてから火を放つと自らのこめかみに銃口をあてて引き金を引いたという。

二人の間の関係は特にこれといった恨み辛みはなく動機に関して警察は頭を傾げているようだ。

それともう一つ警察が不審に思っているのは、焼け跡から身元不明の遺体がさらに発見されたことだ。

それは一階カウンター奥の小部屋から見つかったらしい。

そこは何かの儀式を行うためのような部屋だったようで、正面の壁にはキリストの磔像が飾られ、その前の祭壇に置かれた棺の中には損傷の激しい全裸の女性の腐敗した遺体が納められていたという。

棺は床にもさらに三個並べられていて、それらの中にもほぼ白骨化した遺体があったそうだ。

※※※※※※※※※※

いろいろあったがなんとか商売をやり終えた俺は夕刻、地元駅のプラットホームで帰りの電車を待っていた。

全長50メートルほどしかない、本当に田舎のローカル駅だ。

ホーム中央に立ち、西日の眩しさに目を細めながらここ数日で体験した恐ろしい出来事をぼんやり考えていると、2両編成の古びた電車が定刻より5分ほど遅れてから到着した。

乗り込んだ車両には乗客の姿はなく、がらんとしている。

長椅子の真ん中にどっかりと座ると、ホッと一息ついた。

しばらくするとゆっくり電車は動きだし、ぼんやり正面の車窓を眺める。

視界に入っているのは後方に流れいくホーム。

その時だ。

俺はハッと息を飲んだ。

数秒のことだったが頭を項垂れてホーム端に立つ全裸の女が左から右に流れ、視界から消え失せた。

俺は立ち上がると正面の車窓に駆け寄り離れ行くホームに目を凝らしたが、もうそこには誰もいなかった。

【了】

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