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不思議体験

栗饅頭の開きさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

とーちゃんハウス
短編 2024/09/04 11:41 506view

これは投稿者本人が体験した話です。まだ私が小学生のころ住んでいた地域にとーちゃんハウスと呼ばれる廃墟がありました。とーちゃんハウスは古い一軒家で外装も内装もボロボロなよくある廃墟だったのですが、玄関扉に赤いスプレーか何かで『とーちゃん』と書かれていることからその名前で呼ばれていました。そんなとーちゃんハウスの中には新旧問わず様々なおもちゃが沢山落ちているという噂があり、好奇心旺盛なクソガキだった当時の私と友人青木、森、溝口(全員仮名です)は噂の真偽を確かめるついでにおもちゃをくすねてこようとおもちゃ屋敷に向かいました。

おもちゃ屋敷は森の住んでいた団地の近くに建っていたのですが、その場所だけ人の気配が一切ないどころか虫の声も聞こえないので異様な静寂が流れていました。青木と溝口は普段は感じないであろう雰囲気に興奮しているようでしたが森は怖がって帰りたそうにしていて、私は母に怒られないか心配でびくびくしていました。

玄関の鍵は開いているというか壊されていてすんなり中に入ることができたのですが、そこから先は昼間だというのに真っ暗。光源になりそうなものが森の持ってきていたキッズケータイしかなく、それだけではどう考えても力不足だったため私たちは諦めて帰ろうとしたのですが、溝口だけは「一人でも探索する!」と言って帰ろうとしません。私たちがどれだけ説得して帰ろうと言っても頑として首を縦に振らず、挙句の果てには森のキッズケータイを強奪して一人で入っていってしまいました。私は中に入って止めようとしましたが怖くて玄関から先には進めず、結局彼を除いた3人でその日は帰宅しました。

次の日になって学校に行くと溝口がいません。彼と同じ登校班の人に聞いても分からず、先生にも欠席の連絡は受けていないと言われてしまい本気で心配していましたが、その日の3時間目が終わった頃にやっと溝口は登校してきました。しかし登校してきた溝口は私たちの知っている彼ではありませんでした。元々痩せていた体はブクブクに膨れ上がり顔も見たことのないおじさんのような顔、唯一変わっていなかったのは当時読んでいた漫画に影響されたエセ関西弁だけでした。若が分からないまま狼狽する私と青木と森、しかし他のクラスメイトや担任はまるでそれが当たり前化のように接していて、さらに訳が分からなくなってしまいました。そんな状態でその日は過ごし家に帰ってから母と祖母にその話をしたところ、母の世代でも同じようなことがあったそうです。その時は母と母の姉、そして姉の友人の3人でとーちゃんハウスに行ったそうですが、姉の友人が明らかに姿が変わっているのに母と姉以外は違和感を持っていなかったそうです。

現在ではとーちゃんハウスは撤去され別の家が建っているため真実は確かめようがありませんが、皆さんも不気味な廃墟には入らないでくださいね。

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