同級生の母親
投稿者:栗饅頭の開き (4)
小学生の頃の話。私は親が結構厳しくてゲーム機はおろか漫画ですら自由に買うことができなかったし、誕生日プレゼントも算数のワークとか学研の図鑑しかもらった事がありませんでした。
そんなだから友達だった山本君が最新のゲーム機を買ったという話を聞いた時、頼み込んで彼の家で遊ばせてもらえることになったんです。その日の放課後、家に帰ってランドセルを放り投げて山本君の家に行くと彼が出迎えてくれて部屋まで案内してくれたのですが、その途中でどこかから見られているような気がして振り返っても誰もいない、というのが3回ほどあって怖かった。
そこからしばらく遊んでよいこのチャイムが鳴ったので私が
「今日はありがとう。よいこのチャイムなったし帰るね。」と言って部屋を出ようと扉を開けると、ものすごい形相の女性が扉の前に仁王立ちして私を見下ろしていたのです。
「うわぁ!」
と声をあげ尻もちをついた私を見て山本母が
「なんでこんな汚い子がいるの!早く帰りなさい!二度と家には来ないで!」
とヒス気味に叫びました。私は色々思うことはありましたが人様の家だし特に反論せず玄関まで歩いて向かいました。後ろから山本君と山本母が付いてきていたのですが、その途中も
「こんな子が家に上がってくるなんて…」とか
「あんた付き合う子はちゃんと選びなさい!こんなみるからに頭の悪そうな子なんかと付き合っちゃだめっていつも言ってるでしょ!」
とあえて私にも聞こえるように言っててとにかく不快でした。
その次の日以降、私はなんとなく山本君を遠ざけるようになり一緒に遊んだりすることは次第になくなっていきました。彼に非が無いのは分かってはいたのですが、またあの母親と遊んでいるところを見られたらと考えると怖くて仕方がなく、山本君も何となくそれを分かっていたのか一か月後くらいには完全に会話すらしなくなりました。
そんなある日、母にお使いを頼まれた帰り道で山本母がいました。彼女は良く言えば服のセンスが独特な人で、ショッキングピンク一式を着ているため遠目で見てもすぐにわかりました。
久しぶりに見た山本母は元のガリガリに近い体系からぽっちゃり系にシフトチェンジしていて、辺りをキョロキョロと見ながら歩いていました。以前に罵詈雑言を浴びせられた私は怖くて避けて帰りたかったのですが、彼女のいる場所を通らないと帰れないため気付かれないことを願いながら通り抜けました。離れたところまで歩いてもう大丈夫かなと思って後ろを見ると猛ダッシュでこちらに向かってくる山本母がみえたので、私も全力で走って家に帰りました。
家に着いてすぐに鍵を閉め、何事かと心配して見に来た母に事情を話して警察を呼んでもらおうとしたその時でした。
ドンドンドンドンドンドン!ガチャガチャガチャガチャガチャ!
とすごい勢いで玄関の扉が叩かれドアノブを回されました。私は恐怖心からギャン泣きし母も急いで警察に通報、物音に気付いて二階から降りてきた姉がドアスコープを覗くと悲鳴を上げてもう家の中が大混乱でした。
しばらくして警察が到着して山本母は身柄を拘束され、私たちは全員事情聴取のようなものを受けました。その際パトカーの中に押し込まれる山本母を見たのですが、
「離せー!!!私は何も悪くない!!あの悪魔をくぁwせdrftgyふじこlp!!」
と訳の分からないこと言いながら私を指さしていました。ドアは叩かれた箇所が凹んでいて、もしドアを開けていたらと思うとぞっとしました。
山本母はそのままお縄になり、山本君は父方の実家のある仙台へと引っ越していきました。
それ以来彼とは一切連絡を取ってはいませんが、つい先日彼から電話が着て当時の事を教えてくれました。
私が遊びに行ったあの日、山本君のお父さんが階段で転んで骨折してしまったみたいなのですが、山本母はそれを私が呪いをかけて転ばせたのだと考えたらしく、それからしばらく私を監視して一人になる時間と帰り道を調べていたそうです。山本君はそれに気が付いていたそうですが、もし自分が私に伝えたことがバレたら何をされるか分からないしその時にはお互い関係がほぼ無くなっていたため伝えることができなかったそうです。
そう伝えると山本君は謝罪し私も彼を遠ざける理由もなくなったので連絡先を交換しました。
今ではたまに遊んだりお酒を飲んだりしています。
以上が私が体験した数少ないヒトコワ体験でした。
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