小学校の時、ホームレスみたいなじいさんが学校の周りをうろついてた。
その人は「ずんいっつぁん」と呼ばれてた。
”じゅんいち”という名前がなまったものだと思う。
ずんいっつぁんは髪が肩くらいまで伸びてて、
夏でも真っ黒いジャンバーを着てる。
こんにちはとあいさつしても無視するし、
見た目が恐ろしいのでかなり怖がられてた。
かくいう俺もかなり怖がってたし、夕方に見かけると半べそかいて逃げた。
ずんいっつぁんは肩にいつも黒い袋をぶらさげてて、
ある時それが道端に置いてあったらしい。
6年生がふざけ半分でそれの中身を取り出そうとしたら、
どこからともなくずんいっつぁんが現れ、執拗に追いかけられたらしい。
色々怖い噂はあったけど、そのどれもが誇張されたもので、
教師からは
「怖い人ではないけど、気難しい人だからちょっかい出さないこと」
と言われていた。
なんと、ずんいっつぁんの姉と俺の祖母が知り合いで、
ずんいっつぁんのリアルを聞ける機会があった。
実際のところホームレスではなく、プレハブに住んでる。
プレハブの中にはでかいうさぎがたくさんいて、
ずんいっつぁんは夏でも冬でも外の木の下に寝てる。
いつも肩にぶら下げてる真っ黒い袋には、
バラバラ死体が入ってるなんて言われていたが、
実際はウサギの餌になるクズ野菜やら。
色々あって病んでる人だから、
いたずらしたりしちゃだめだよと言われた。
大人になった今、ずんいっつぁんの真実を聞いた。
悲しい男、ずんいっつぁん。彼の物語。
ずんいっつぁんは事故で奥さんと息子を亡くした。
彼の心のよりどころは、息子が愛したウサギだけ。
秀逸
胸糞やなあ
そういうおじさんはどこの地域にでもいるものだしなんか少し懐かしい気分になった
ずんいっつあん可哀相。