学校近くの廃墟にあった開かない金庫の話
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/04
14:45
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鬼より怖い体育教師の荒川がマイクの前で話している。
「遅刻をしないように。それから学校が終わったらまっすぐ帰るようにしなさい。
もし遅刻や寄り道などをした生徒が分かった時は、次の集会でここに並んでもらう」
と言って自分の立つ演壇の横手を指さす。
見せしめにするということだった。
ざわめく生徒たち。
そして制裁はそれだけでは済まず、多分しばらくは荒川にマークされることになる。
男子生徒にとって体育教師荒川の存在は絶対的な恐怖だった。
家に帰り着いた森本は母親からこっぴどく怒られる。
「あんた、こんな時間まで、何してたの!?」
怒られている間彼は何度となく学くんのことを話そうとしたのだが、体育教師の荒川の言葉が頭に浮かびとうとう言い出せなかった。
※※※※※※※※※※
翌日学校内では飯島学がいなくなったということで、教師達は大騒ぎになっていた。
森本も彼の友人も全員職員室に呼ばれ詰問された。
だが彼の消息を知る者は誰もいなかった。
森本はもちろん知っていたのだが、ことがあまりに大きくなったことで恐ろしくて何も言えなかった。
2日経ち3日経っても学くんは見つからない。
警察は誘拐を視野に入れて捜査を始めていた。
森本も何度となく警察の人に質問を受ける。
だが彼はあの日学くんと一緒に学校を出たが、途中の道で分かれたと答えていた。
半年経ち1年経っても学くんは見つからず、とうとう事件は迷宮入りになってしまう。
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