学校近くの廃墟にあった開かない金庫の話
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/04
14:45
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だが今も学校周辺のあちこちの電柱や掲示板には飯島学の写真が貼られているが、それらのほとんどは雨風でボロボロになっていた。
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そして今、三十路の森本は金庫の前に立っている。
「学くん、ごめん」
彼は先ほど買った一束の花をその頑丈そうな扉の前に置くと、膝まずき静かに手を合わせた。
いつの間にか壊れた窓からは夕日が差し込み部屋は朱色に染まっている。
壁に飾られた油絵に描かれた王妃の顔がどこか不気味に浮かび上がっていた。
その時森本は何だかどこからか、ひょっこりと学くんが現れてくるようなそんな錯覚に陥る。
そして彼が相当の時間手を合わせ最後に一礼した時だ。
─ゴトン!
何かがぶつかるような音が金庫の中から聞こえ、森本は驚いて顔を上げる。
すると、
─ガタン!
唐突に金庫のレバーが下がった。
─ひっ!
彼は驚いて立ち上がる。
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