とある村で代々受け継がれる【絆の宴】という風習
投稿者:ねこじろう (156)
「準備が整いましたようですので、さっそく【絆(きずな)の宴(うたげ)】を執り行いたいと思います。
それではよろしくお願いいたします」
岡田さんの合図とともに大皿の前に座る者たちが一斉に膝立ちになると、皿に盛られた臓物や赤身を沸騰した土鍋に次々投入していく。
─寄せ鍋か?
それにしては肉以外の野菜や豆腐とかがないが、、
堀口が少し奇妙に思いながら見ていると、一番上座に座る住職の隣に座る岡田さんがある程度煮込んだ肉や臓物を箸でいくつか皿に取ると恭しく両手で住職に手渡す。
他の皆はいつの間にか正座して、その様を真剣な目で見守っていた。
住職はまずその取り皿を目の前に置き、それに向かって合掌すると厳かに念仏を唱え始める。
念仏を粗方終えると取り皿を改めて手に持ち中の肉を箸で口内に放り込み二度三度噛むと、最後には一言「うん、これは旨い!」と呟いた。
それを確認した皆はニッコリと微笑み頷くと、各々鍋に箸を突っ込み既に煮込まれている肉や臓物を適当に取ると皿に入れる。
堀口は正面に座る初老の男性をそれとなく見た。
彼は芋虫のような造形をした肌色で長い何かを両手で持って、かぶりついている。
まるで唐揚げを食べるように。
その隣のおばさんはというと、ギョウザのような造形の肌色の何かをむしゃむしゃ食べている。
この辺りから堀口の胸の奥には言い様のないどす黒い不安感が生じ始めていた。
その時だ。
「いやだ!絶対いやだ!」
岡田さんの隣に座る学生服姿の息子の叫び声がする。
見ると岡田さんが箸に挟んだ肉の一片を「こら、わがまま言うんじゃない」と言いながら息子の口内に無理やり入れようとしているのだが、必死に顔を背けて拒否しているようだった。
息子はほとんど泣き顔でしっかりと口をへの字にしており、どうやら本気で嫌がっているようだ。
すると隣に座る中年の男性が「ほれ、あんたも食べてやってくれや」と笑顔で言って具材を取り分けた取り皿を堀口の前に置く。
それで彼はその湯気のたつ皿に何気に視線をやった。
皿には部位の不明な肉や臓物が盛られているのだが、その中に一つ何か奇妙なものが紛れているのに気付く。
( ゚д゚)。
カニバリズム(;_;)
( ゚д゚)。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
怖いですヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ
コメントありがとうございます。
ねこじろう
いくら故人とはいえ、朋子さんは自分の肉が喰われるの承諾したのですか???田舎とはいえ、そんな風習無さそうですけど。。。。。。
もちろん、この話はフィクションです。
あくまでエンタメとして読んでいただければと思っております。
─ねこじろう
奥さん茶髪なのに誰の髪?
おっと、よく細かいところまで読まれておりますね。
おっしゃるとおり遺影の髪色は茶髪となっておりますが、黒髪の間違いです。
貴重なご指摘をありがとうございます。
─ねこじろう
田舎って怖い