とある村で代々受け継がれる【絆の宴】という風習
投稿者:ねこじろう (156)
─何だろう?
訝しく思った彼は皿に顔を近づけていき、最後には「うわっ」と声を出して後ろにのけ反った。
煮込まれた肉の狭間に垣間見えたもの。
それは白くふやけた一個の眼球。
堀口はそれと目が合ってしまったのだ。
瞬時に胸の奥を熱いものが次々逆流してくる。
「う!、、、」
彼は口を押さえたまま苦し気な表情で立ち上がり皆の静止を振り切って部屋を出ると、真っ直ぐ廊下を玄関まで走り靴を履いて外に飛び出した。
受付の男性が手渡す土産と称する手提げ袋を訳もわからず受け取った堀口はそのまま逃げるように門を出てバイクに跨がると、フルスロットルで街道を走り出す。
※※※※※※※※※※
彼はあっという間に山裾の部落を抜けると薄暗い一車線の山道を猛スピードで走り続けた。
何度目かのカーブを曲がり中腹辺りで徐々にスピードを落としていくと、適当な路肩に停車する。
エンジンを切りバイクを降りてヘルメットを脱ぎ軽く深呼吸をした後、街灯のあるガードレールの際まで歩いた。
ガードレールに寄りかかり暗い谷底から聞こえてくる川のせせらぎの音をしばらく聴いていると、堀口の心はようやく少し和らいでくる。
しばらくして彼はふと、さっき受付でもらったお土産の紙袋のことを思い出した。
それでまたバイクのところまで歩くと、座席シート下部にある荷物入れから紙袋を取り出す。
そして再びガードレール際の街灯下まで戻ると、そこで紙袋の中身を見てみた。
中には一枚の便箋と一個のちいさな巾着袋が入っている。
袋には「絆」の一文字が刺繍されている。
便箋には本日故人のために訪れてくれたお礼の言葉の後、無事【絆の宴】が執り行われたことでめでたく故人は皆様と末永く一緒になれたこと、そしてその感謝のしるしとして故人を偲ぶ巾着袋を同封しましたのでお納めくださいと流麗な毛筆の手書きで記されていた。
堀口はしばらくその繊細な刺繍の施された小さな袋をしげしげと眺めていたが、やがて中身が気になりだしその口を閉じている紐を慎重に解くと袋を逆さにしてみる。
すると手のひらにポロリと1センチも満たない小さな白い塊と黒い何かが落ちた。
─何だろう?
( ゚д゚)。
カニバリズム(;_;)
( ゚д゚)。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
怖いですヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ
コメントありがとうございます。
ねこじろう
いくら故人とはいえ、朋子さんは自分の肉が喰われるの承諾したのですか???田舎とはいえ、そんな風習無さそうですけど。。。。。。
もちろん、この話はフィクションです。
あくまでエンタメとして読んでいただければと思っております。
─ねこじろう
奥さん茶髪なのに誰の髪?
おっと、よく細かいところまで読まれておりますね。
おっしゃるとおり遺影の髪色は茶髪となっておりますが、黒髪の間違いです。
貴重なご指摘をありがとうございます。
─ねこじろう
田舎って怖い