追いかけて来る地蔵
投稿者:kenta1234 (2)
これは、東京近郊にお住いの美容師Aさんが体験なさった話
Aさんは、若い頃に少し非行に走っており・とある暴走族のグループに所属していた
ある日に、仲間内で根性試しをやろうや・・という話になった
その方の地元には、心霊スポットとして名高いトンネルが1つ存在していたが
中程まで進むと、お地蔵さんが二体安置されている
よく在りがちなトンネル内での交通事故等を防ぐ見守り地蔵的な存在として
設置されたが、中を歩いて行くとお地蔵さんが追いかけて来る・・という噂話が
まことしやかに囁かれていた
Aさんは、真夜中に暴走族グループで車数台と単車に分乗して・そのトンネルへと
向かったらしい
そして、トンネルへと到着して懐中電灯を照らしながら中を進んで行くと確かに噂通りに
お地蔵さんが二体安置されていた
実は、その「族(ゾク)」のグループをまとめるリーダー格の総長の方が一人いたが
幽霊とか心霊現象などを一切信じない
「おい、お前ら・このお地蔵さんを一体誰か持ち帰れや」
という話となった・・ダチョウ倶楽部さんの、どうぞどうぞ・・のギャグではないが
皆、地蔵の祟りを怖れてか尻込みをして持って帰りたがらない
其処で、白羽の矢が立ったのがAさんであった
「おい、A・・お前の家は商売やっとるやろ・・店が繁盛するからお前が持って帰れ」
グループ内で威厳を放つ総長の命令は絶対であった
Aさんは、渋々お地蔵さんを一体を担ぎ上げて車に乗せて持ち帰る事となった。
やがて、仲間達とは別れてAさんは自宅へ到着した
お地蔵さんの置き場所に困った彼は一旦物置小屋へと安置しておく事とした
その翌日、自室で就寝していたAさんであったが・・
血相変えて飛び込んできた母親にたたき起こされた
「母ちゃん、どないしたんや・・こんなに朝早くに」
「どないも、こないもあるかい・お前あんな物を置きっばなしにして迷惑やろ」
Aさんは、不思議に思ったが・・
母親に促されるままに自宅の玄関先に赴くと驚愕の光景が其処にあった
昔の昭和の時代には、お店の玄関の引き戸はガラスが主流であったが・・・
そのガラス戸が粉々に破壊されて地蔵がポツーン・・と立っていたのだ。
Aさんは、ガクガク震えていたがある一つの事が脳裏をよぎった
「この地蔵は俺が総長に命令されて持ち帰ったのではない
これは、トンネル内で残してきた一対のお地蔵さんの筈だ
だとしたら、これは俺らの後を追いかけて来たのではないのか」
あの噂話は本当であったのか・・恐怖心に駆られたAさん・・数日後にグループの
集会があり思い切って、総長にその話を打ち明けた
幽霊とか心霊現象などの話を毛嫌いする総長は大激怒した
祟りが起こらないように、お前らでお地蔵さんを全て片付けろ・・という話となった
Aさんは、仲間内数人とお地蔵さんを河原まで担ぎ上げて運び・其処で
ミノ等を使って、地蔵を粉々に破壊して川へと遺棄したのである
その後に、暴走族のグループは解散する事となった
仲間内は、「族」からは足を洗い皆更生し社会人となった
Aさんは、美容師として身を立てる事となったが・ある日に大病を患う事となった
その闘病中に、不思議な夢を何回か見てしまったという
それは、真っ暗闇の中を何かに追いかけられて必死で逃げ回っている悪夢
Aさんは、夢の中で正体不明の物体から無我夢中で逃げ回ったが
咄嗟に、もし捕まってしまうと殺されてしまうと本能的に感じたという話。
やがて、病は快癒した・・それと同時に何者かに追いかけられる悪夢も見なくなったが
重度の味覚障害となってしまったのである
何を食べても砂か粘土を食べている感じであり食事を楽しむ喜びが喪失した
しかし、Aさんは地蔵の祟りから解放されて命があっだけでも有難いと語っている。
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