夢中の常連
投稿者:俺的な人物 (2)
短編
2025/01/23
12:50
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西へ。
エスカレーターを使い二階へ。
宝石店、貴金属店の並びを横目に道なりに進む。
右手に屋内遊園が見えてくれば間もなく。
〈その店〉は、見えてくる。
同じ場所の夢を見ることはないだろうか。
しかも、時系列を同一にした場所の夢を。
私にとってそれは、ある「ショッピングモール」の夢だ。
私のどこかの記憶から想起された場所なのであろうが、そこはいつも同じ場所だ。
そしてそこに流れる時間は、前回見た同様の夢から引き続いている。
夢の中の私は決まって、ある〈店〉を目指して進む。
そこは飲食店である。
分類としては――という前置きをつけるが。
相当なお気に入りだ。
私は一目散にそこを目指すのだ。
夢特有の一種異様な佇まいのショッピングモールの風景には目もくれない。
早く。
早く早く。
あの店に入りたい。
あのサービスを受けたい。
人ごみをかき分け進む。
前回はとても良かった。その前も。
今回はどうだろう。どんなもの、だろう。
夢中において夢想しながら、店を目指すのだ。
到着した。
その店の名前なのだが、うろ覚えである。
繁体字のような字体で3~4文字の店名が掲げられていたような気がする。
そこは重要ではないということだろう。
小綺麗なショッピングモールに似つかわしくない、誤解を恐れずに書けば、九龍城の一角を切り出したような異質さ。
一目で、この店だとわかる。
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