彼らはみんな、どこに行っちゃったんだって、周りは、世間は、ずっと囁き合っていたよ。
オカルト的なことに否定的な人たちは、学校関係者の犯罪を疑っていたしね。
でも、どうやら「そういうことじゃないらしい」ってことになる、ある事件が起きた。
ハルカちゃんがいなくなった年の、夏休み開けのある日の授業中のことだった。
6年4組の教室。
その時はたまたま先生が用事で教室にいなくて、自習を言いつけられたみんなは、席で静かに本を読んでいた。
その時、最前列の席に座っていた女の子が、突然悲鳴を上げたんだ。
「黒板が!」って。
全員が顔を上げると、教室の前の黒板に次々と、白いチョークの文字が浮かび上がってきたんだ。
『出して』
『ここから出して』
『暗い』
『こわい』
『ここにいます』
『みんないるよ』
『まっくら』
『ずっと夜』
『学校から出られない』
『お願い』
『はやく助けて』
『私は』
『ハルカ』
見えない誰かがそこにいるかのように。
鏡写しにひっくり返った文字が。
みんなの見ている目の前で。
次々。
次々。
次々に。
やがて、黒板を文字でいっぱいにして、その現象はぴたりと止まったんだってさ。
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なんか面白かったです。語り口が良かったです。