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呪い・祟り

綿貫 一さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ザイコウセイ
長編 2023/12/19 19:33 11,389view
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その現象を見た子供たちは、先生から固く口止めされていたんだけどね。

でもこれ以降、子供たちの間では「神隠しに遭った子たちは、学校の裏側に引っ張り込まれて、そこでまだ生きている」なんて噂話が広がったんだ。

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黒板のメッセージ事件は、目撃者が子供たちだけだったけどね。
大人が目撃者になったこともあった。

2010年くらいのことだ。

当時、教育実習で母校であるその小学校に勤務していた青年――仮にアオヤギ先生としようか――が、ある日の放課後、校内の見回りをしていた。
子供の頃に通った、懐かしい校舎。
誰もいない廊下は、夕陽に赤く照らされていた。

既視感。

と、不意に図書室から物音がしたんだ。

「誰かいるのかい?」

アオヤギ先生はドアを開け、教室の中に声をかける。
6年生くらいの女の子がいた。
薄汚れた服を着て、しゃがみこんでいる。
苦しんでいるみたいだ。

「きみ! 大丈夫かい?」

先生は慌ててその子に駆け寄る。

髪を、花飾りの付いたヘアゴムでおさげにしたその子は、手で顔を覆いながら、小さな声で何か呟いている。

「――しい……」

「きみ、きみ! どうした? 苦しいのか?」

「――ぶ、しい……」

「なに? なんだって?」

どうしても声が聞き取れず、慌てていた先生は、無理やり女の子の手を、顔からどけてしまった。

すると、

「まぶしいいいいいぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

女の子は絶叫した。

あまりの大声に、窓ガラスや本棚がカタカタと揺れたくらいだ。
そして、その子の顔を見て、先生はその場から動けなくなってしまった。
彼女の瞳は、まるで光の刺さない暗い海底に潜む深海魚のように、のっぺりと退化してしまっていたから。

6/10
コメント(2)
  • 面白かった

    2023/12/19/20:20
  • なんか面白かったです。語り口が良かったです。

    2023/12/19/21:50

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