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呪い・祟り

綿貫 一さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ザイコウセイ
長編 2023/12/19 19:33 11,385view
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『黒い穴?』

っていう、落書きがしてあったってさ。

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3番目は1999年の7月。
夏休み前のことだ。

この時は、セイジくんとハルカちゃんだ。
ふたりは、同じ6年4組のクラスメートだった。

放課後、セイジくんはハルカちゃんを屋上に誘った。
屋上っていったら、普段はドアに鍵がかかっていて、出入りできない場所だ。

だけど、この時はドアの鍵が壊れていて、それを知っている一部の児童だけが、先生に内緒でこっそり遊び場にしていたんだね。

ところで、1999年7月といえば、世間はノストラダムスの大予言で騒いでいた時期だ。

隕石?
戦争?
大地震?

とにかく何かが起こるんじゃないかって、不安と、妙な期待が渦巻いていた。
そんな空気に後押しされて、セイジくんはハルカちゃんに告白をしたんだね。

「――ごめんなさい」

これにはセイジくんもガッカリだ。
せっかく「世界が終わる時は、僕と一緒にいてください」なんて、精一杯格好つけた告白のセリフを考えたのにね。

だから彼が、ハルカちゃんを夕暮れの屋上に閉じ込めちゃったのだって、失恋ゆえに子供っぽい行動だったと許してやってほしい。
時間にしたって、ほんの30分程度のことだ。

はじめはドア越しに、「セイジくん、開けて!」という声がしていたが、やがてそれは泣き声に変わり、そのうちなにも聞こえなくなった。
「いい加減許してやるか」なんて勝手なことを言いながらドアの鍵を開けた彼は、びっくり仰天さ。

そう、彼女は消えていた。
もちろん、地上に落ちてしまった、なんてことはなかったよ。
なのに、鍵のかかった密室の屋上から、忽然といなくなってしまった。

彼女もまた、「神隠し」に遭ってしまったんだ。

§

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4/10
コメント(2)
  • 面白かった

    2023/12/19/20:20
  • なんか面白かったです。語り口が良かったです。

    2023/12/19/21:50

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