先輩のお守り
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
女が金づちを俺めがけて振り下ろそうとしたが、うまく避ける事が出来たがその場で尻もちをついてしまった。
女は目の前まで迫っていて、反射的に右足を蹴りだした。
すると運よく、女の足のどこかに蹴った足が当たったみたいで、女はバランスを崩し転んだようだ。
すると、なぜか女の姿が見えなくなり、俺は安心したからか立ち上がることができた。
スマホで辺りを照らすと、大木の近くの窪みに女が落ちたことがわかった。
女は横向きに倒れていて、明らかに足にダメージがあり、すぐには立ち上がれそうになかった。
ところが、さっき尻もちを付いた時だろうか、俺も足首を少し捻ったみたいでうまくある事ができなかった。
その時、
「おーい、A、大丈夫か!?」
「何かあったのか!?」
BとCの声が聞こえた。
俺は
「こっちだ、大丈夫だ、ちょっと来てくれ!」
と返事をすると二人はこっちに合流してくれた。
「お前の懐中電灯は見えなくなったし、叫び声は聞こえるし、心配したぞ。」
「ありがとう、ちょっと足を捻ったみたいだ。それよりも、いたんだよ。女が。早くここから逃げよう。」
「女?見なかったけどな。でさ、例の藁人形とか無かったのかよ。」
「あったよ。そこの2本の大木を見てみろよ。」
俺がそう言うと、二人は大木を照らしてみた。
「これは…。」
おびただしい藁人形を見ると、二人はそう言うのがやっとだった。
「そうだ、そこの窪みを照らしてみてくれ。」
俺がそう言って3人で窪みを見てみると、そこにはもう女の姿は無かった。
「確かにここに女が落っこちたんだ。」
「うーん、お前が嘘を言ってるとは思わないし、丑の刻参りなら俺たちに見つからないようにしないといけないから、うまく逃げたんだろう。」
Cの言葉を最後に、俺は痛んだ足を引きずりながら、3人で車へとゆっくり歩いて戻っていった。
Aさんの話はこれで終わった。
「それで、女の顔を見たんですか?」
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