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呪い・祟り

キミ・ナンヤネンさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

先輩のお守り
長編 2023/12/17 05:04 6,974view
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僕はそう聞くと、

「ああ見たよ、はっきりとな。そうだな…、何というか、目を見開き、血走っていて、よだれも出てだような気がする。髪の毛はボサボサで、年齢は20代にも見えるし50代と言ってもおかしくなかった。」

少し間を開けてAさんは話を続けた。

「見たと言っても、その時間は多分3秒とか5秒とか、せいぜいそんなもんだろう。でもその時は凄く長く感じたんだよ。人を恨んだり憎んだりすると、鬼の形相というか、人間はあんな顔をするのかと思うと、自分はそうなりたくないと思ったんだ。それからは人を悪く思わないようにしたんだ。」

「そんな事が…。」

僕がそう言うと

「ああ、そうそう、君にいい物を見せてあげる。」

Aさんはそう言うと、財布を取り出して中からファスナー付きの小さなビニール袋を取り出して僕に手渡した。

「これがその時の物だよ。」

ビニール袋には10本ほどの「藁」が入っていた。

「もしかして、これって…?」

「ああ、さっきの話の藁だよ。」

「ええ!?で、でもなんでこんな物を…?10年も前の物でしょう?」

「何と言っていいのか…、自分への戒め、とでも言えばいいのかな…。だから、これをお守りとしていつも持ってるんだ。」

「はあ、そんなんですか…。」

僕はそう言うのがやっとで、それ以上何と言っていいのかわからなかった。

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