犬の散歩
投稿者:ねこじろう (147)
それは正月休み最後の日曜日のこと。
休みの間、家でゴロゴロしていて体が鈍っていたから、朝方久しぶりに愛犬を散歩に連れて行った。
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いつもだと妻が連れていってくれるのに今日は私なので犬は少し戸惑っていたが、すぐに慣れて嬉しそうに走り出した。
犬に引っ張られながら川沿いの遊歩道を歩いていると、いろいろな人にすれ違う。
仲良く並んでジョギングする老夫婦。
ダイエット中なのか、深刻な顔をしながら走る、おデブな若い女性。
見るからにアスリート風のスリムな男性……。
しばらく歩いていると、後ろの方から元気な男の声と荒い息遣いが聞こえてきた。
「よーし、よし、よし、良い子だ!頑張れよ!」
振り向くと、私と同年代くらい、四十過ぎくらいのジャージ姿の男性が何か独り言を言いながら走ってくる。
白髪交じりの頭を七三に分けて、実直な感じだ。
白い息を吐き太鼓腹を揺らしながら、近づいてくる。
そして私の横に並ぶと速度を緩め息を整えながら、
「おはようございます!」
とにっこり微笑むので私も、
「どうも、おはようございます」
と返す。
すると、
「いやあ、良い天気ですなあ。わんちゃんの散歩ですか?」と尋ねてくる。
「ええ、まあ。
体が鈍っていたから、久しぶりに」
と言いながら、私は、必死に紐を引っ張ている愛犬の黒いトイプードルの方を見た。
「トイプードルですか、かわいいですなあ。
うちは真っ白な雑種ですわ」
と言うので何気なく男の足元を見たのだが、そこに犬の姿は見当たらない。
「まあ、こんな雑種でも飼うと愛情が湧くものですなあ。
最近は私の方がこいつと散歩するのが楽しみになってきてねえ。
ハハハハ、、、」
私はチラチラと男の周辺を探すが、やはり犬らしきものはいない。
愛犬の幽霊かと思いきや、、、ゾッとした。
大切な愛犬を亡くして…という感じかと想像したけど違いましたね。怖いです…
コメントありがとうございます。
─ねこじろう