これは私の実体験です。
今から約25年。
私は六本木のキャバクラで働いていました。
若い時代で稼いでいたので移動はタクシーをよく使っていました。
住まいは中野。
その日は仕事はなく、六本木の皮膚科に行くためにタクシーを捕まえました。
「どこまで?」
「六本木まで」
「六本木?いいお客さんだね」
そんな会話をしながらタクシーは走り出しました。
運転手は前を向いたままなので顔は分かりませんが男性でした。
何気ない会話をしていたら
「実はこの間、天使を乗せたんだよ」
「…?天使?」
意味が分からず前のめりに聞き返すと
「お客さんみたいに色白でさ、ミニスカートはいた若い子で「私を好きにしていいよ」って言うんだよ。堪んなくてさ」
なんて下品な会話…
「あの、この辺で降ります」
「え、まだまだ六本木まであるよ、まだ話そうよ」
タクシーは止まらず走り続ける。
「でさ、堪んないから路地裏に止めてさ…」
話の内容は覚えていません。
あまりにも気持ち悪い内容にはやく降りたいと外の景色を眺めているのが精一杯でした。
「六本木、着いたよ」
やっと着いた、やっと降りられると思い財布を取り出すと
運転手が上半身ごと後ろを振り返り
「キミは俺の天使になるのかな?」
初めて見た運転手の顔。
眼鏡をした面長の50代くらいの男性でした。
手を太ももに伸ばしてきて、恐怖と嫌悪感に反射的に避けました。
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