ボクらは帰った。この地で荼毘に伏すという考えもあったが、ボクが反対して遺体を地元へ運ぶ方を選んだ。
地元へ戻ってから、身内だけで葬式を済ませた。集められる身内はそんなに多くはなかった。母につながりのある親戚はほぼ集めることはできなかったのだ。まさかあの集落に連絡することなどはありえないし。
だが・・・。事態はひそかに動いていた。
通夜も終わり火葬場へ向かう。棺の中の母の顔を拝み、最後の別れをする。
我々は控室で軽食などをとりつつ、お骨上げまでの時間を潰した。
やがて予定の時間がやってきて火葬場の炉が開けられる。
覆いが外されて、幾分灰が舞い上がる。母のお骨が現れた。
火葬場の職員の方が大きな磁石のようなものなのだろう、周囲に素早く走らせ、金属製のものを除去している。棺を止めていた釘やホチキスの針のようなものだ。
その後、改めてお骨を見た職員が少し困惑しているようで、固まっている。
「あの、どうかされたんですか?」と聞いてみる。職員は重い口を開ける。
「あのぅ、いつもならまず、一番大きく残っている頭蓋骨をですね、申し訳ないんですが、細かく砕かせていただいているんですが・・・」
その言葉を聞いてハッとしてお骨を見る。小さな骨、大きな骨といろいろあるが、確かに頭蓋骨が無い。歯もない。
「のどぼとけもない・・・」職員がポツリという。
ボクはその瞬間、電撃が走るかのように怒りが沸いた。
「くっそ!!あいつらだ!!」
「あいつら?」妹が聞き返す。火葬場の職員もキョトンとする。
ボクにはすぐにわかった。どんな方法を使ったかはわからないが、ここに首から上の骨がないということは、遺体が焼かれる寸前に、なにものかが首を切断して持ち去ったということだ。そして、そんなことをするやつらにボクは心当たりがあった。
「首が盗まれたんだ、警察を呼んでくれ!盗んだやつがこの火葬場に侵入していたはずだ、調べてくれ」ボクはそう言い残して火葬場を出て行こうとした。
「兄さん!お骨上げの途中でどこに行くの!?」
「決まってる!!サナトリウムだ!!誰がどうやってやったか判らないが、その首がどこにあるかはわかってる!!ボクはそれをとり返してくる!!」
「兄さん!!」
・・・そういえばまだ妹には詳しいことは何も話していなかった。だがそんな時間もない。
それは母の首を取り返してからでも遅くはないだろう。
ボクの脳裏にはくっきりと映っている。子供の生首が納められたガラス瓶のとなりに、
新たに母の生首が入ったガラス瓶が置かれているのだ。花や木の枝等と一緒に・・・。
・・・・・
翌日、地方新聞に記事が載った。元サナトリウム施設の廃墟から出火し、近くの廃棄集落をふくめた一帯が山火事に包まれた・・・と。火の勢いは強く、いまだ消火には及んでいないが、人的被害は無い模様・・・と。

























kamaです。今回もお読みいただきありがとうございます。実は、これを書いている最中に首にものすごい痛みが出るようになり、10日の日は会社を休んで形成外科へ行きレントゲンを撮ってもらいました。骨に異常はなく、原因不明。とりあえず薬をもらってきたのですが、もう本当にひどい痛みで、頭が首から落ちてしまうのではないかという痛みで、寝返りを打つときは両手で頭を押さえながらしていました。医院でもらった薬が効いたのか、その後は回復してきて、やっとこのお話を書き終えることができました。なので予定より2~3日余分に時間がかかってしまいました。
・・・まぁ、霊障じゃないと思います(笑)薬で治りましたからね。
もし、読者のみなさんにも首が痛くなった人が出てきたら・・・その時はタイトルに【霊障注意】って入れます! よろしくお願いします。
凄く読み応えがあるお話でした
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただけたでしょうか。首は痛くなってませんか??
亡くなった人の首をホルマリン漬けって、奇妙な風習ですね。ちなみに読んだ後、首の痛みは出なかったがヘルニア持ちです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。お体、お気を付けください。
読んだ翌日、朝目覚めたら全く右腕があがりません。とりあえず湿布で様子をみて良くならないようなら病院へいこうと思います。年のせいかも。
↑kamaです。コメントありがとうございます。その後右腕はいかがですか? シップならロキソニンテープよりケトプロフェンテープの方が効きますよ!! 他に身体の調子が悪くなった方はいませんか~?? みんな集まれー!! もはやこのコメント欄がサナトリウムだ!!
あっ、そうそう・・・この話に出てくる生首のホルマリン漬けですが・・・主人公も言っているようにホルマリンではなさそうですよね。どっちかというと、ハーブ酒に近いような・・・
rarkです。とても面白かったし、とても参考になりました!!
↑kamaです。rark様!??ひょえ~~コメントありがとうございます!もったいなきお言葉。でもボクなんかまだまだですよ。みなさんのお話を読んですげーなーと思うことが多いです。奇々怪々さんは自由に書かせてくれるところなので安心してもう100話も書いちゃいましたが、まだまだ言葉足らずや逆に言葉が多すぎる部分もあったりで日々いろいろ考えながら書いてます。rark様の作品ももちろん読ませていただいております~~。ありがとうございます。
kamaです。どうやら韓国語のYoutubeチャンネルで朗読されたみたいです。ありがたやありがたや。何言ってるかはわからなかったですが、とても贅沢な作りで感激しました。
何か凄く韓国っぽいな〜とは思ってた
↑kamaです。コメントありがとうございます。ナルホド、これは目からウロコです。そうやって見ると物語全体がなにか怪しげな雰囲気をまとってより楽しめそうですね。お話の中ではあえて地名は出していないし、変に特定されると困るのでフェリーの時間も適当にして、方言もいろいろ混ぜてやってるのですが、なるほど~韓国かぁ~。こりゃー韓国を舞台に1本書いてもおもしろいかもしれないですね。
とても読みやすく読み応えのあるお話でした。
↑kamaです。コメントありがとうございます。もう今までさんざん読みにくいだの話が長いだといろいろ言われてきましたので、読みやすいなんて言われるととてもうれしいです。ありがとうございます。これからももっと精進いたします。
すごく不気味で読み応えがある名作でした
↑kamaです。コメントありがとうございます。お褒め頂き大変感謝しております。
次回作・・・いや、次々回くらいかな~・・・もっと怖いの出します。お楽しみに。
夢にまで、でてきそうな怖いのお願いします。
とても面白い内容でした
読み終わったらちょと首が痛くなってきました。どうすればいいですか?教てくださいKama
さん
五郎って方は女性の人ですか?クビは痛くありませんが…読み終えたアトなんとなくそう思えました。
最後のサナトリウムと周辺の集落跡地の火災は、お兄さんが、火を放ったということなのでしょうか??
とても読み応えのある話でした。
↑そこは描かれていませんから、想像するのが一番楽しいかもね。
もしかしたら、集落の謎の住人達と壮絶な戦いがあったあとでの火災かもしれないし、
お兄さんも死んだのかもしれないし、生きてるかもしれないし、
集落の人間たちはそもそも日本人としてカウントされていない人間なんじゃないのか、とか
いろいろ想像が膨らみます。
実は、集落の人々はサンカだった説