【赤騎士事件】-事件記者 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (216)
「なにがおかしい?」
「フン」朽屋は自分の頭を銃口にわざと強く押し付けた。
「あっ!」銃の男が慌てて銃口を朽屋の頭から離し、スライドを引きなおす。
朽屋はその隙を見逃さず、男の持っている銃のマガジンキャッチを一瞬にして押し込んだ。
男の銃から流れ落ちる弾倉。
「ああっ!」さらに慌てる男。
「ほ~ら、弾なんか入ってないじゃない」カラの弾倉を皆に見せながらドヤ顔の朽屋。
男が幹部に向かって言う。
「コイツ、わざと頭でスライドを中途半端に押し込んで、銃を撃てなくしやがった!!」
「ちょっとそれ貸しなさいよ」朽屋が銃をよこせと手で合図しながら文句を垂れ始めた。
「ヤクザ御用達のチャカ、トカレフか。安全装置もないシングルアクションの銃でハンマーを起こす音がカチカチ2回したってことは、それはもうハーフコックもされてないし、チャンバーに弾は入ってませんよって言ってるも同然じゃない。それやっていいのはリボルバーかダブルアクションの銃だけよ」
そう言いながら、朽屋は男が手渡してきたトカレフの右側面にある金具を弾倉の底を使って後退させ、フリーになったテイクダウンピンを指で押して取り外した。あっという間にスライドとフレームは分離。フレームからハンマーをブロックごと抜き取ると、今度はスライドからスプリングを取り外し。バレルブッシングを180度半回転させながらバレルをすっぽりと前に抜いた。
ここまでほんの10秒程度。トカレフはバラバラに分解されてテーブルに並んだ。
「ヒュ~」幹部の一人が口笛を吹いた。「やるじゃん。見事なもんだ」
「どこで銃の知識を?」
「ひ・み・つ・・・で、私をどうするの?他の人は今日は銃を所持してないみたいだけど?」
組長が口を開く
「すまねぇな。今日は話をしに来ただけで、脅すつもりはなかったんでな。オレも確かに3人やったが、昔のことだ。もう時効だ。それに、幹部二人はもうお務め済みだ。
そっちのジャージのはお察しの通りプロだ。今まで何人やってきたかは知らんが、ウチで面倒見ることになってからはまだ一人もやってない。だがこれだけは言っておく。オレたちはカタギの人間にはいっさい手を出しちゃいねぇ。
・・・で、逆に聞くが・・・どうする? オレたちを警察にでも売るか?」
朽屋は残念そうに言う。
「私は霊視をしただけ。人を殺せばみんな何かしらの痕跡が残るのよ。私はそれを見ただけ。残念ながら、警察は霊視で見えたからと言って逮捕に動いてはくれないのよ。
助かったわね、あなたたち」
「そうかい、いや、あんたのチカラは良くわかったよ。ウワサ以上の本物だ。
それに、この状況でいい度胸してるぜ。どうだい、あんた、よかったらウチの組に入らないかい?」
「けっこうよ。ヤクザ稼業に興味はないもの。・・・って、まさか今日って私のスカウトに来たわけじゃないでしょう?」
「あぁ、そう言う訳じゃねぇが、優秀な人材はいつでも大歓迎さ」
「・・・じゃ、本題に入ってもらいましょうか」
「あんた、エクソシストとかって、映画みたことあるかい?」
「ええ~あるわよ。っていうか、ヤクザ稼業の方も映画とか見るんだ」
kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて😭
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。