【赤騎士事件】-事件記者 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
「映画や興行は昔からシノギにかかわる大事な収入源だからな。そりゃ見るさ」
「で、そのエクソシストがどうしたの?」
「オレの孫がな・・・アレとそっくりなことになっちまって・・・そりゃあひどいもんさ。
・・・クッチャさんあんた、アレをなんとかできないかい?」
「ポルターガイストってこと?・・・バックに悪魔でも憑いてるのかしら?」
「頼む、クッチャさん、この通りだ。孫は本部の地下牢に幽閉してある。・・・ここに来るまであちこち相談してまわったんだ。坊主も神父も何の役にもたたねぇ。そんな時にあんたの話を聞いた。頼む、この通りだ。もう頼れるところがねぇ・・・頼む」
そう手をついて頭を下げる組長を横目に、両隣の幹部らもしぶしぶ頭を下げていた。
「わかりました、わかりました! 顔上げてください。今のあなたはヤクザの組長じゃなく、ただ孫を助けたいだけのお爺ちゃんにしか見えないもの」
「おぉ、じゃあ引き受けてくれるかい?」
「その代わり、2日ほど時間をちょうだい。今夜、あなたのお孫さんの状態を見に行くわ。
それから準備に入って・・・私の他に助手を一人連れて行くことになりそうだから、そのスケジュール調整をさせてもらうわ」
「ありがてぇ。じゃあ今夜、ここにクルマを寄こすからそれで本部迄きてくれ。
恩に着るぜ、クッチャさんよぉ」
「じゃ、また今夜。・・・お帰りになるならこのトカレフ忘れないで持って帰ってね」
「ボクが片付けるよ」そう言ってジャージの男がトカレフの前にくる。
まだティーンエイジャーに見える。
バレルをスライドに戻し、ブッシングをはめ、ガイドループをスライドに押し込む。
ハンマーのユニットをフレームに戻して、スライドとフレームを所定の位置に合わせ、
テイクダウンピンを差し込み、右側面の金具でピンをロックした。その間9秒ほど。朽屋より1秒早くトカレフを組み立てた。そしてポケットから弾丸を一発出して朽屋に見せる。
「朽屋さん、わかる? 7.62ミリ弾だよ」
ジャージの男はマガジンにその一発を込め、トカレフに差し込んだ。
そしてすばやくスライドを引く。
「どう?今度は弾、入ってるけど・・・この状況からどうにかできる?」
「できるわよ。でも、あなた・・・撃たないでしょ?
こんな狭い部屋で撃ったら、跳弾してお仲間に当たる確率の方が高いもの」
「へぇ・・・ホントにいい度胸だ。あんた、殺し屋に向いてるかもね」
突然、杖でガツンと殴られるジャージの子。「いてっ!」 組長だ。
「九郎!!このバカモンが、銃を置け!」
九郎と呼ばれたジャージの少年は、頭を下げながらトカレフを最初に持っていたスーツの男に渡した。スライドを引き、排莢された弾丸を空中でキャッチする男。
「若い衆が粗相した。すまねぇな。邪魔したぜ」
そう言って去って行く団体さんたち。
kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて😭
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。