「もうじき救援が来る、それまで生きて、ニンニン! 私とデートするんでしょ!?」
朽屋には止まっている暇はなかった。ウェザビーの照準を赤い騎士へ向ける。
スコープを覗き込んで驚いた。
屋敷の外から銃を撃ち込んでいるのは九郎であった。
ベランダから逃げたのではなく、外に回ってそこから射撃をしていたのだ。
だが、他の構成員たちがそうだったように、人間の撃つ通常の弾丸はやつにはまったく歯が立たない。先の戦闘で朽屋たちの戦いを見ていた九郎ならそんなことは判っているはず。
しかも自身もスナイパーであり、敵の前に身をさらしての射撃は死を招くことを一番よく知っているはずだ。あえてそうしたのは、朽屋の活動を助けるためなのは明白である。
自分が囮になることで、朽屋に射撃チャンスを作ったのだ。
九郎がバルベリトの間合いに入る。危険だ。
右腕のムチが高速で伸び、九郎の心臓を狙う。
その瞬間、バルベリトの右肩に閃光が走り、右腕が吹き飛んだ。
朽屋の魔弾の1発が九郎を救ったのだ。
ヨロイのスリットから燃えるような禍々しい眼光が朽屋の方を見る。
「オ・マ・エ・か・・・」
肩から吹き飛んだ右腕側から、トゲのムチが再び伸び始めた。復活である。
朽屋の方に踵を返すと、重戦車のように突進してきた。
朽屋のウェザビーが再び火を噴く。しかし、有ろう事かその魔弾からご主人様を守るがごとく、赤い馬が体を張ってその魔弾を受け止めた。血しぶきを上げて倒れる馬。
もんどり打って倒れた騎士であったが、すぐに立ちあがり、朽屋の方へ歩み寄ってくる。
朽屋にはもう魔弾が無い。
弾のキレたウェザビーを捨て、忍足の側に刺さっていた『小豆長光』を手に取り、
スペルを唱える。「ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ・・・いざ蘇りし堕天の子らよ、我の元に集い汝らの力をここに宿せ・・・לוציפר, אסתר, אדון הזבובים, ילדי שמים, קמו והתאספו לפני ותתנו לי כוח.」刀身が青く光り輝く。























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて?
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。
これを初めて読んだんですけど面白かったです!
他のも見てきますw
文体が面白いだけでなく、作者の深い知識に感心させられる。
アクションの表現もいいので一気に読んでしまう。
シリーズの他の作品も急いで読みたいし、今後も追いたいと思った。