教育とは
投稿者:竹倉 (9)
Tさんは何かを思い出したかのように忌々しげに話し始めました。
「ほら、糸同士が絡んでお祭りしたりするだろ?それにさ、有り体に言えば邪魔じゃない」
釣りには一定のエチケットがあり、基本的には隣の釣人とは一間(竿一本分)は開けて釣座を、構えるとされています。
「Mさんもさ、やはり邪魔だと思ったんだろうね。お互いの釣り場も狭くなるからさ、他に行ってくれないかと親子を諭したんだよ。そしたらさ、何が起きたと思う?」
「…竿を蹴り飛ばした、とか?」
先程のことを思い出し苦々と答えた俺に、Tさんが言いました。
「釣ってバケツに活かしておいた魚を、あの馬鹿娘が全部海にぶちまけやがったんだ。」
その光景を間近で見ていたTさんによると、あの娘さんは発作的にバケツを海に投げ入れたらしく、その顔はニヤニヤと笑っていたのだとか。
両親は両親でそれを叱ることはもちろんせず、蜘蛛の子を散らすように海に帰る魚と、沈みゆく水くみバケツを同じく笑いながら眺めていたらしい。
案の定、Mさんはブチ切れた。
「もしかするとさぁ、あの娘さんは何かしらの疾患でもあったんじゃないか?いや、娘だけじゃぁない。両親にもだ。」
あれだけ天気が良かったのに、少し雲が出てきたようだ。
そう、何かしらの疾患であればこれまでの出来事も100歩譲って納得はできる。
Tさんは確信めいて話を続けた。
「結果的にさ、家族は俺等とは違う場所で釣座を構えたわけだよ。その後はさ、あれだ。」
Tさんの指した先では、いつの間にか魚を釣り上げたらしい例の家族が楽しそうにしている姿が見える。
家族三人良い笑顔みたいだ。
ああなんだ。きちんと家族で釣りを楽しんでいるのだな。
俺の竿を蹴り飛ばしたことは、この際忘れてしまおう。
きっと何かの病気だったんだな。娘さんも可哀想に。
だが待てよ?
何かおかしい。
確かに楽しそうにしてはいるが、一体何を楽しんでいるのだ?
俺はTさんの方へ振り向いた。
Tさんは頷く。
「あの娘、釣ったフグを蹴り飛ばして遊んでるんだよ。それはもう満面の笑みでさ。」
その笑顔は俺の竿を蹴り飛ばした時とは比較にならないほど満面で禍々しい。
フグを蹴る。地面に叩きつける。踏みつける。
それを無邪気とは言い難い凄惨なこの展開。
どのような躾、暮らしをしていれば、あのような行動に及ぶことができるのだろう?
娘がフグを弄んでいる間、両親といえば、父親はその凶行に拍手などしており、母親といえば、その姿をスマホで撮影しているという。
オチがお見事ですね。あと訳わかんないあとがきがないのもgood
kamaです。怖いのとムカつくのといろいろ混ざって素晴らしいですね!
その親にイラッとします。
マフラーにおにぎりが、事件ですよ。
コメントありがとうございます。
当然脚色はありますが、笑いながらフグを蹴飛ばしていて、それを笑って見ていた両親は実際に存在してました。胸糞悪かったです。
Mさんのモデル(生きてますw)が、ガツンと叱ってましたよ。
北海道で男性の首を〇った一家を思い出してしまった