奇々怪々 お知らせ

不思議体験

竹倉さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

まごころを、君に
長編 2025/03/07 18:11 2,195view
2

夜中、俺は青森県にある単身赴任先の仮住まいで睡眠中に目を覚ました。

仰向けでベッドで横になっている俺の目の前に、それこそ鼻っ面が触れてしまうのでは?という距離に、まるで黄金バットのような人相をした奴がふわふわと浮いているのが見える。

不思議と恐怖感はなく、何か用事でも?と尋ねてみると、そいつは自分の事を死神なのだと言う。

なるほど、死神が俺の所に来るということは、俺は死ぬ運命にあるのだな、と妙に納得もした。

話しによれば俺はあと10分ピッタリで死んでしまう予定になっているらしい。単身赴任と言い、急な話だ。
死因は何かと問うてみてもソレは死神にも分からないのだそうだ。仕方があるまい。

だがしかし、特別サービス(何が特別なんだろう?)という事で、今ならば下記のオプションを付けることが可能なのだという。

①即死
痛み苦しみは無し。
親しい人に何も遺言を残せない。

②10秒間耐え難い痛みと苦しみで悶絶する。
大切な人の枕元に立って遺言が残せる。

……..うむ。
死ぬのは苦しいのだろうか?痛いのだろうか?
辛い思いは甚だ御免であるが……
それにしてもコイツは死神のくせになんで下北弁を喋るんだ?聞き取りにくいったらないぞ。

それはともかく、時間がない。慎重にオプションを選ばなければ。

上記の通り、痛いのと苦しいのは勘弁していただきたい。しかし、だがしかし…..

ふと神奈川県に残してきた愛妻のことが脳裏に浮かんだ

愛する妻。容姿も可愛く、料理も上手い。そして性格が仏が如く素晴らしい。何より床上手である。

学生の頃からの付き合いであったが、何度も振られながらやっと意中を掴んだ妻。今頃俺がいなくて寂しい想いをしているに違いない。
そんな妻に何も言わずにあの世へ行ける道理はない。

夜中ではあるが先ずは電話で遺言をっと…..
…..身体が、動かない…..

ふと死神を見てみると、何やらそわそわとしているのが見える。
どうしたのかと尋ねると、コレからまだまだ日本中の人間に余命を伝えに行かなければならない。ついては早めにオプションを選択してほしいのだが、との事であった。

もう選んでいる時間はない。
痛み苦しみは不本意ではあるが、②のオプションを選択するしかないようだ。
オレはそう死神に告げた。
妻に贈る愛の言葉は沢山ある。俺の最後の愛の印を受け取ってほしい。
これまでの人生、楽あれば苦もあった。だが、愛する妻に遺言を残せるのであれば、またそれも良しか…..

1/4
コメント(2)
  • 座敷童の続きはどうなったの

    2025/03/10/15:33
  • やはり選ぶのは②ですね。そのあとの死神の怖さが欲しいと思いますが、あまりに怖いと【いい事ですが】ょむのに勇気がはぁーはぁーはぁー、妻への愛を感じられる話しなのかなと思い
    題名に合ったましたです。

    2025/03/11/20:08

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。