「警察だ。無駄な抵抗はするな!」
イモムシのように這っていた青年は、その声を聞いてもうダメだと観念したようだった。
床の上で動きを止めた。
盾を持った警官を先頭に警官隊が扉を開けてドタドタと大勢入って来て左右に展開した。
犯人の抵抗を考えての措置だ。
だが、警察の予想に反して、犯人は完全に拘束されており、もぞもぞと動くだけで抵抗する術がないことが一目でわかった。
警官隊の緊張がゆるみ、安堵したその瞬間・・・
先ほどの朽屋と青年との争いで天井に突き刺さっていたナイフが、突然抜けて落下した。
警官隊が入って来た時の振動のせいかもしれない。
ナイフは空中で回転して、重たい刃の方を下に向け、垂直に落下した。
その真下には、ちょうどイモムシのように這ってきた青年の首があった。
「あっ!!」その場にいた警官隊全員が思わず声を上げた。
天井から落ちたナイフは、床に這いつくばって顔を横に向けていた青年の首に突き刺さり、大量の血があふれ出した。頸動脈が切れたのは明らかだった。
警察無線があわただしく飛び交い、救急隊が屋敷内に向かう。
朽屋は目をつぶった。
その日の夜。
警察署で事情聴取される朽屋。
屋敷内では庭を掘り返しての遺体の確認や家宅捜索によっていろいろな証拠品が出た。
血液反応だらけの室内、劇毒物に化学薬品。庭で育てた植物から毒物を抽出するための実験器具なども押収された。都内にばらまけば何万人もの死者を出せるほどの量だった。
朽屋が証拠として持ち込んだビデオに映っていた霊体の件は、とくに警察内でも極秘扱いとされた。
「おぅ、朽屋、大丈夫か? ケガとかしてないか?」
警察からの知らせを受け、月刊モー編集長のヴィンセント三上が朽屋を迎えに来る。
「デスク~~わーーん、怖かったよぉ~」抱き着く朽屋。
「あ~よしよし、ほれ、帰るぞ」
「怖かったから原稿料あげてください」
「それはできん。が、今晩は私が飯をおごってあげよう」
「え~・・・まぁいいか」
「この近くに幽霊が出るって有名な屋台の蕎麦屋があるんだ。そこ行こう」
「えええ~~~もう蕎麦も幽霊もお腹いっぱいなんですけど~~」
「まぁそう言うな。せっかくだし、ネタになるかもしれんじゃないか」

























kamaです。自分で書いてて一番楽しい完全自己満足の「朽屋瑠子シリーズ」もおかげさまで8話目となりました。今回は、いつもの妖怪・悪魔退治とは打って変わって対人間です。
ボクの作品を読んでくれている方ならお分かりと思いますが、以前投稿させていただいた
「アジサイガサイタヨ」の解決編となります。あちらの作品をまず読まれてから、こちらお話を読まれると、世界観が広がってより楽しめるかもしれません。
じっくり楽しんでいってください。
解決編で犯人が判りスッキリしました。犯人はロリコン変態気質かな?身震いがするような恐さがありますね。
やはり悪い事をすれば天罰がくだるんです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。
「アジサイガサイタヨ」のお話は殺人犯が犯行をやり遂げて、そのまま終わったことで非常な不快感を持って終わりましたが、クッチャルコがそれを回収できていれば幸いです。朽屋も最後は目をつぶってましたしね。裁かれるべくして裁かれた、という感じでしょうか。次回作もお楽しみに。
最後のほうに「そば屋に出る幽霊」の解決篇が今から期待しています。
↑kamaです。それもおもしろそうですね。
札幌のホテルで首を切断された男性遺体。
朽屋瑠子が公開されると、似たようなキーワードの事件が発生する。
とくのしんです。コメント返しです(笑)
シリーズ化凄いですよね。それに投稿数も凄いと感心しちゃいます。
自分は単発物しか書いていませんが、話の仕入と仕事の合間しか書かないので、頑張っても投稿数は1~2程度が限界です。
kamaさんのこのシリーズは個人的に凄く楽しめているので、これからも怖くて面白い話の投稿楽しみにしています。
↑kamaです。ひょえ~~~とくのしん様、ありがとうございます。
朽屋瑠子シリーズは自分で書いてて一番楽しい作品です。なんたって過去の書いたお話のプロットはそのままに、別視点で解決編を書けますからね。キャラたちが勝手に動いて事件を解決していくのでボクも楽しみにしております。
お褒めを頂いた投稿数も、そろそろネタ切れですから、これから頻度は下がると思いますが、今後ともよろしくお願いします。とくのしん様作品はかならず全部読ませていただきます~~ありがとうございました~!
アジサイ含め、彼が育てていると言った植物はすべて毒草ですね。
面白かったです!
胸の第3ボタンを外すと大爆発・・・ビジンダーですね。