ユウガオの花
投稿者:rark (32)
シャン……ドン♪……ドン…♪ピー…♪
シャン……シャン……♪
遠くから祭囃子のようなものが聞こえて来ます。
「じいちゃん。なんか笛みたいな音聞こえる……」
と、祖父に言うと、
祖父「来よった!道化人どもや!
車乗ってから話すけぇ。とりあえず乗れ!」
と言って、まずあっちゃんを後部座席に乗せます。すると祖母が僕の元にやってきて、昨日、例のピエロに貰った、カランコエの花を僕に渡し、
「絶対無事に帰るんよ!」
と言って、僕を後部座席に乗せます。そして、祖父が助っ席に乗りこみ、それから五分くらい車を走らせ、峠を超えるための山道に入ったところで、未だ状況を掴めない僕達2人に祖父が語り始めます。
「今からこの町から出る。狙われとるけんな。」
祖父の話によると、
「慶長12年。まだお侍さんがおった頃や。同時の村は、とにかく災害が多かって、どんどん村人が死んで、村の連中は最終手段を取ったんや。「道化人の迎え入り」というまぁいわゆる生贄みたいなもんや。数年に1回村の誰かに、一通の手紙と、一輪の花が送られる。手紙の内容はそれぞれ異なるが、その送られてくる花は、決まってカンナの花ということや。ここ50年。こんなことはなかったんやけどな。こうなってしまった以上。街の外に出るしかない。」
そして、道化人が来る以上、他所からきた僕がいることもまずいらしいそして、あの神主さんは、僕らを逃がすための、囮として祖父母の家に残ったとのこと。
そうこうしている間にもうすぐで、峠をこえるという時、
シャン……ドン♪ドン♪シャン……シャン……ピー♪……ドン♪……シャン
後ろから、祭囃子のような音が聞こえます。
運転手「んなアホな!!もう来よった!」
祖父「はよ、飛ばせ!!」
僕は、ふと後ろを振り返ります。
そこには20……いや、30……それよりも多い人影がゆっくりと歩いてきます。そして、その人全員が、
狐の面と、黒い着物をしています。
しかも、ゆっくりと歩いているように見えるのですが、僕らとの距離は全く広がらない。というか、どんどん近くなっている気がする。
祖父「まずい!!追いつかれるで!!」
運転手「いや無理や!アクセル踏んでもスピード出ん!」
「お迎えに来ましたゆえ。」
すぐ近くで声が響きます。気がつけば狐の集団は、車のすぐ隣まで来ていました。僕は不意にあっちゃんの方を見ます。
「……え?」
いないんです。さっきまで隣にいたはずのあっちゃんが。すると、
「いま行ひにけりや。ならば代はりに、なんぢをぐしゆく。
(もう行ってしまわれましたか。ならば代わりにお前を連れていく)」
花言葉
ユウガオ⇒夜
カランコエ⇒あなたを守る
カスミソウ⇒夢
カンナ⇒永遠
モリンガ⇒目覚め
キンシャチ(サボテン)⇒儚い夢
助っ席→助手席
カランゴエをわたしたピエロは味方?