【USAのUMA事件】-研修生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
微動だにしない軍曹。
(だがどう仕留める?本気でやれば骨ごとばらばらに砕いてしまいそうだ。下手をすると殺してしまうかもしれん)
朽屋がビシっと、しなるような蹴りを入れている間に、腕組みをして朽屋の料理方法を考えている軍曹。衆人から笑いが起きる。
おもむろに朽屋の胸ぐらをつかみ持ち上げる軍曹。
片手で軽々と天高く吊るし、ギリギリと締め上げる。
(さぁどうだ呼吸もできまい。さっさとタップして音を上げるがいい)
そう思った時、朽屋の指が軍曹の親指と人差し指の間に深く入った。咄嗟の痛みに軍曹の手が緩む。次の瞬間、朽屋は体を跳ね上げ、軍曹の腕に体ごと巻きついた。
バランスを崩して倒れ込む二人。
が、朽屋はすでに軍曹の腕に関節技をキメにかかっていた。
観衆がざわつく。
「アームバーを取られたぞ!」
「いや、待て・・・」
朽屋が腕ひしぎ十字固めを完全に決める前に、軍曹が鬼の形相で立ち上がろうとしていた。
朽屋は軽い。腕に巻き付かれたまま軍曹はそれを高く持ち上げて、床に叩きつけようと考えた。そうすればどんなやつでも意識が飛んでしまうだろう、そう思った。
が、朽屋はそこからするりと足を入れ替えて軍曹の首に足を巻きつけ、三角締めの体勢に入った。軍曹の頸動脈が朽屋の太ももでみるみる締め上げられていく。
軍曹の顔色が赤黒くなっていく。だがそれでも強力な背筋で朽屋ごと起き上がろうとする。
あと少しというところで、朽屋は三角締めをほどき、そこから転がりながら離れ、軍曹と距離をとった。
一瞬の出来事に我を忘れて驚く軍曹。三角締めの影響で頭に血が逆流し、ジンジンする。
片膝を立て、やっとの思いで立ち上がろうとしたところで、朽屋がおもむろに走り込んできた。そして軍曹の片膝に乗り上げた。
「オ、オレを踏み台にしたぁ!?」
そう思ったが早いか、朽屋の膝が水平に軍曹のこめかみにピンポイントにめり込んだ。
カツーンと響き渡る音と共に、見ていた観衆から「Oh!!」と声が上がる。
軍曹を見ると膝をついたまま天を仰ぎ、目が激しく痙攣していた。
明らかに脳震盪を起こしている。
「ストップ!」大佐が止めに入る。
「誰か、軍曹をみてやってくれ」
朽屋は倒れた軍曹のそばに駆け寄ろうとしたが間に入った兵士に止められた。
「近づくな。気が付いた軍曹がまだ格闘中だと勘違いして襲ってくる可能性がある」
朽屋はしぶしぶ引き下がった。
「ごめんね、軍曹・・・私、まだヒーリングの術をあまり知らなくて・・・」
kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で7作目となりました。過去作品もお読みいただくと、より世界観が広がると思います。よろしくお願いします。
今回のお話は、朽屋瑠子シリーズの中でも最も長編となった【より子ちゃん事件】で瀕死の状態になった朽屋が復活する過程でアメリカに研修に行っていた時のお話になります。
朽屋シリーズは時系列がバラバラなのはご了承ください。
ロマンホラーって感じで、気軽に楽しんでいただければと思います。
また誤字などありましたらお気軽にお知らせください。
先生の久しぶりの力作を楽しみです。
↑kamaです。毎度読んでいただきありがとうございます。
朽屋瑠子シリーズは別に怪談としてぜんぜん怖くないし、なんなら中二病全開で、話も長くてYoutubeでも2回くらいしか朗読されたことありませんが、自分で書いてて一番楽しいです。
えぇ、これが自己満足の世界というやつです。
「沖縄のキャンプ座間」が気になってしまいました。沖縄なのか座間なのか。今後のストーリーに影響なければ流すのですが。
↑kamaです。設定のご指摘ありがとうございます。「沖縄」をはずさせていただきました。
実は最初に書いた原稿で、大佐が沖縄のキャンプシュワブにいた設定にしていたのですが、
ご存じの通りキャンプシュワブは米海兵隊の基地で、グリンベレーと海兵隊の協力関係があったという設定もできますが、やはり陸軍は陸軍ということで、途中で座間に変えたのですが、沖縄のまま進めてしまいました。ご指摘大変ありがたいです。またなにかおかしなところがあったら教えてください。
ラストの方でチョコバーを差し入れるマーベリックがかわいくてちょっと萌えました。
↑kamaです。コメントありがとうございます。萌えは大事ですね。
学業と訓練の二刀流の瑠子、カッコいい!
↑kamaです。コメントありがとうございます。でも、実質1年留年です。そこはテヘペロです。
ちょっと待て、16歳の太ももで三角締めって、ご褒美じゃねーか!
最近、射撃場という言葉をよく目にする。ひとつはこの作品。もうひとつは自衛隊のニュース。
出だしのセリフ、北斗の拳かと思った。