家族の笑顔
投稿者:たち (8)
私は小さい頃から父が好きで、どこに出かけるにも後を追っていました。
父の友人の家、仕事の現場にも何度も付いて行きました。
そんなある日、私が小学生の頃。家族全員で出かける用事がありました。
私、両親、父方の祖父母、父の姉の6人は、大きな車に乗って行くことにしました。
行き先は片道2、3時間かかる場所で、峠道をいくつも越えて行かないと辿り着かないとこでした。
目的地に着き、用事を終え、自宅に向かい峠道を走ってる最中でした。
突然、運転していた父が路肩に車を停めて、
「後ろタイヤ、パンクしてるな」
とみんなに伝えました。
祖父と父が確認しに外に出ていきました。
すぐに戻ってきて、
「ダメだな」と言いました。
スペアタイヤはありませんでした。
場所は峠の途中で民家は無く、街灯も数本程度しかない所です。
当時はスマートフォンなどは無く、外出先から連絡を取るには公衆電話しかありませんでした。
この先どうするのか、話合いが始まりました。10分くらいで、ある結論が出ました。
父がこの先にある休憩所まで歩いて行き、そこから他の身内に連絡をして迎えに来てもらうというのです。
確かにこの先、トンネルを2、3箇所過ぎたところに休憩所があるというのは小学生だった私でもわかっていました。
父が出て行こうとした時に、
「俺も行く」と言いました。
暗い山道を歩いて行くのは少し怖かったが、父と離れたくないという思いの方が強かったのです。
「危ないからダメ」と何度も言われましたが、
「行く!」と私は一歩も引きませんでした。
父が、ため息をついて、
「いいよ、行こう。疲れたらおぶるから大丈夫。」と言ってくれました。
2人で外に出て、ゆっくり歩き始めました。
歩き始めはヘッドライトの灯りで照らしてくれてましたが、カーブを曲がるとその先は真っ暗に。
徐々に目が慣れていき、数本ある街灯を頼りに歩き続けました。
歩きながら私は疑問に思うことがありました。
「夜で山道だけど、車が全然通らないな」
車が通っていれば、事情を話し、運が良ければ休憩所まで乗せてもらえるのに…と思っていました。
そんなことを考えながら私は下を向き、歩いていました。
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