【USAのUMA事件】-研修生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
まるでスチールウールを燃やした時のように、チリチリとオレンジ色の光がベヒーモスの体全体に走って行く。ベールが1枚剥がされていくようだ。
次弾を装填し、射撃体勢に入る朽屋。すぐさま2発目を撃つ。
再び青い光跡がベヒーモスへ向かう。
ドンっという鈍い音と共に青い光がベヒーモスに吸い込まれる。
次の瞬間、ベヒーモスの体内で爆発があり、一瞬体の内側から青い光が見えた。
「きゃああああああ!」ベヒーモスが断末魔を上げ、口と思われるところからどす黒い血のような液体を大量に吐き出した!
「やった、やったぞ、マーベリック! イケル!!」
だが、ベヒーモスはゆっくりだが力強く動き出す。朽屋のいる方角に向かってまっすぐ。
「こちらビッグフット、分隊は無事! ベヒーモスがマーベリックの方へ向かっている!!」
ベヒーモスの速度が徐々に早くなる。どうやら朽屋の存在を完全に見つけたようだ。
3発目をバレットに装填する朽屋。三たび照準を定める。呼吸を整え、朽屋にとっては最後の魔弾を撃つ。轟く雷鳴と共に、青白い閃光がベヒーモスへ向かう。
突き刺さる魔弾。ベヒーモスの体内奥深くで爆発し、体が激しく振動する。
地響きを立てて地面に頭を落とすベヒーモス。
「やったか!?」軍曹が目を見張ってベヒーモスの様子を見る。
「こちらマーベリック、残弾ゼロ・・・」
「ん・・・?」軍曹は目を疑った。ベヒーモスは息も絶え絶えだが、まだ生きている。
そしてゆっくりとまた朽屋の方へ向かいだした。
「マーベリック、こちらビッグフット、ベヒーモスはまだ沈黙していない!退避せよ!」
・・・だが、朽屋からの応答がない。朽屋はこの時、意識がやや朦朧とし始めていた。
朽屋には3発の魔弾を使ったあと、強い睡魔に襲われるという弱点があった。
「軍曹!!これ見てください!!」部下の一人がなにやら金属製のケースを持って来た。
その中には、弾丸を込めたマガジンが10数本入っていた。
「どうしたんだ、コレ、5.56mm弾じゃねーか・・・あっ!!・・・」
軍曹は思い当たった。おそらく、最初に犠牲になったシロウト兵士たちだ。
ベヒーモスに襲われてSUVが横転した時に、予備で持っていた弾丸入りBOXも落下し、
そのまま回収されずにフィールドに転がったままになっていたのだ。
「オイ・・・オレはこの弾をベヒーモスにブチ込もうと思う。だがこれは命令違反になる。おまえたちはここで待機していろ!」
「軍曹!! そりゃないっすよ!!」
「そうですよ、俺たちは一蓮托生!責任は全員で!・・・なぁ!!」
「軍曹だけ楽しもうってんじゃないですよね!?」
kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で7作目となりました。過去作品もお読みいただくと、より世界観が広がると思います。よろしくお願いします。
今回のお話は、朽屋瑠子シリーズの中でも最も長編となった【より子ちゃん事件】で瀕死の状態になった朽屋が復活する過程でアメリカに研修に行っていた時のお話になります。
朽屋シリーズは時系列がバラバラなのはご了承ください。
ロマンホラーって感じで、気軽に楽しんでいただければと思います。
また誤字などありましたらお気軽にお知らせください。
先生の久しぶりの力作を楽しみです。
↑kamaです。毎度読んでいただきありがとうございます。
朽屋瑠子シリーズは別に怪談としてぜんぜん怖くないし、なんなら中二病全開で、話も長くてYoutubeでも2回くらいしか朗読されたことありませんが、自分で書いてて一番楽しいです。
えぇ、これが自己満足の世界というやつです。
「沖縄のキャンプ座間」が気になってしまいました。沖縄なのか座間なのか。今後のストーリーに影響なければ流すのですが。
↑kamaです。設定のご指摘ありがとうございます。「沖縄」をはずさせていただきました。
実は最初に書いた原稿で、大佐が沖縄のキャンプシュワブにいた設定にしていたのですが、
ご存じの通りキャンプシュワブは米海兵隊の基地で、グリンベレーと海兵隊の協力関係があったという設定もできますが、やはり陸軍は陸軍ということで、途中で座間に変えたのですが、沖縄のまま進めてしまいました。ご指摘大変ありがたいです。またなにかおかしなところがあったら教えてください。
ラストの方でチョコバーを差し入れるマーベリックがかわいくてちょっと萌えました。
↑kamaです。コメントありがとうございます。萌えは大事ですね。
学業と訓練の二刀流の瑠子、カッコいい!
↑kamaです。コメントありがとうございます。でも、実質1年留年です。そこはテヘペロです。
ちょっと待て、16歳の太ももで三角締めって、ご褒美じゃねーか!
最近、射撃場という言葉をよく目にする。ひとつはこの作品。もうひとつは自衛隊のニュース。
出だしのセリフ、北斗の拳かと思った。