クビになったおっさん
投稿者:kana (210)
疲れた。会社で何の仕事をしてるかわからなくなってきた。
会議会議会議会議・・・その内容はと言えば社長や部長の自慢大会。
成功したら自分のおかげ、失敗したら部下のせい。会議は部下の吊るし上げの場。
「あぁ、いやだいやだ。疲れた、本当に疲れた・・・」
シャワーを浴びてベッドに横たわる。
14型テレビだけが暗闇で光っている。別に何かを見ているわけではない。
オレはそのまま意識がだんだん遠のきそうになっていた。
・・・身体が沈む。
まるでベッドが底なし沼のように、自分の身体を吸い込んでいく。
ふと、おかしな感覚に気が付いて少し目覚める。
「あれ?・・・クビの下に・・・すぐ足首があるぞ・・・」
なんともおかしな、不気味な感覚に襲われた。
身体の感覚がないのである。
頭があって、首から下にすぐ足首。
太モモも、ふくらはぎもなく、首の下にくるぶしが来て、かかと、つま先、土踏まず・・。
左右の耳の下あたりからは腕が生えている。
まるで頭に手足がついてるマンガのキャラのようだ。
「幻覚なのか?オレは疲れすぎて幻覚を見ているに違いない」そう思った。
「ど~れ、ちょっと起き上がってみるかな? 生首人間はどうやって歩くのかな?」
おもむろに起き上がり、ベッドから降りた。
おもしろい。頭が空中に浮いている。なのに足の裏は床を踏んでる感覚がある。
まるで空中浮遊でもしているかのようにオレは歩いた。
身体の感覚がないので、試しに台所にあったスプーンで自分の身体があるはずの部分をツンツンしてみた。なにも感じない。本当に体が消えた。
まるで手品でもやっている気分になってきた。
「♪タリラリララ~ン♪」
BGMを口ずさみながら、生首男は体があるはずの空間を何度もスプーンでこねくり回した。
何も感じない。なんの抵抗もない。次にフォークも試してみた。ツンツン刺してみる。
なにごともない。ナイフも試してみた。空気を切っている感じだ。
ついでに包丁もやってみた。
おもしろい。空中浮遊の手品を一人で踊りながら楽しんだ。
kamaです。スイマセン。先に謝っておきます。
この話で最後に彼女が出てきて泣きながら抱きついてきたシーンがありますが、
そこは話を盛りました。(笑)
おぞましい!命が助かっただけでも良かった!
疲れ切って精神が壊れかけていたんじゃ無いでしょうか?
お大事に。
↑kamaです。いたわりのコメントありがとうございます。
確かにこのような症状は強いストレスなどによっておこる解離性同一障害や離人症・現実感喪失症、PTSDなどが考えられるかもしれないですね。
まぁ、首から下にすぐ足がついている感覚など、一生のうちになかなか体験できるものではないので、今回はボクの不思議体験としてネタにさせていただきました。