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妖怪・風習・伝奇

プルプル布顚🍮さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

その木に実る林檎は甘く
短編 2026/03/06 18:39 113view

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この話を書いた時寝ぼけていたので、話の作りが変だと思うかもしれませんが、ご了承ください🙇

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 私は趣味でよく一人旅行をする。旅行といっても観光地などではなく、ただ電車で辿り着いた何でもない場所に行ってはその風景の写真をインスタントカメラに納めていた。

その日も、いつも通り電車に乗って旅をしていた。其処は、とても空気が澄んだ居心地の良い場所だった。民家がぽつぽつと建っていて、山に囲まれている。近くに森があり、私は気になって入ってみた。美しい常盤色の木々の写真を撮りながら進んでゆく。

すると、一本の大きな巨樹を見つけた。その巨樹には、赤々とした林檎が山ほど実っている。悪いと分かっているものの、どうしてもあの林檎が食べたい。急にそう思い私は手に取れる高さに実っている林檎を一つ取って鞄に入れてしまった。それから森を出て、今夜過ごす宿へ向かった。宿につき、先程持ってきた林檎を一口齧ってみた。

それは今まで食べた他の林檎とは比べ物にならない位甘く、とても美味だった。あっという間に食べ切ってしまい、「もう一つ食べたい」という気持ちが芽生えた。私は宿を出て、あの森の中へ再度入っていった。今回はビニール袋に10個程入れて持って帰ってきた。宿に帰ってくるなり、林檎を貪り食べた。夜になっている事を気にも止めず、ひたすら齧り付いた。

どれ程の時間が経っただろうか。はっとして手元を見ると、無い。あんなに沢山あった林檎が一つも残っていなかった。手や顔はべたべたになっている。

でも何故だろう。あれだけ食べたというのに、まだ食べたい。もっと食べたい。私はまた森の中へ入っていった。漆黒の闇の中、スマホのライトで道を照らしながら、あの美しい緋色の林檎を求めて進んで行く。

そして件の林檎の木を見つけた。私は勢いよく林檎を食べる。やはりこの林檎は美味しい。

「ゴリッ」

なんだろう。林檎ってこんなに硬さの差が激しかったっけ。

やっと気付いた。私が食べていたのは、最初から林檎じゃなかった。私は暗い中、巨樹を見上げた。其処には沢山の自殺した人間の死体がぶら下がっている。私は、ずっと死んだ人間の肉を齧っていたのだ。ふと、自分の持っている物を見ると目が合った。誰かも知らない男性の頭。こんな事をしてしまったからには、自分もしなければいけない。冷静にそう思って、一つ開いたロープに私は首を括った。

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 私は民宿の清掃員だ。お昼頃部屋の掃除をして周っていると、とある部屋の床に写真が何枚も落ちているのを発見した。近くにある山や森の風景が写っていた。その中に一つだけ、異様な物があった。大きな木に大勢の人が首を吊っている。私はその写真を切り刻んで捨てた。

今年もこの季節になると、「捧げ身」が一人出る。

あの木は昔、よく林檎の実る木だった。食糧困難に至った時、あの木に林檎が沢山実っていたおかげで、皆なんとか生き延びていた。けれどそんな中、他人の事を考えずに林檎を一人で何個も食べる者が出た。そいつは林檎を自分だけの物にしたいと思うばかりに、其処で自ら首を吊った。それから捧げ身が始まったのだ。毎年一人、あの木に魅入られた者は異様に林檎を欲して、命を絶ってしまう。

あの写真に写っているのは、今まで捧げ身になった者達だろう。

そして、この部屋に泊まっていた客も、捧げ身になってしまったのだろう。

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