友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
「この奥にあの廃墟があるの?」
「おう。たぶん、俺らの足なら普通に五分くらいで着くかな?」
Aはそう言いながらシートベルトを外して車の外に出る。
しかし、Bは「俺は車にイタズラされたくないからここに残るぞ。何かあったら電話して」とシートを倒してゆったりとくつろぎ始めた。
まあ、車を出してくれている手前、いくら心細いと言ってもAはBに強く出れないだろう。
「わかったよ。置いていくなよ?」
「んなことせんよ」
Aは念を押してBに「マジで待っててくれよ?」とお願いしてた。
結局、俺はAと二人で脇道を登っていく事になった。
軽い登山だなと思いながら、動きやすいスニーカーを履いてきてよかったと安堵する。
「なあ、マジでドッキリじゃないの?」
「だから本当に知らないって。マジで落としたんだよ」
道中、俺は未だ確信できてない気持ちから、Aに「本当はドッキリなんだろ?」と何度も問い詰めたんだが、Aは『知らない』の一点張りだった。
ちなみに送られてきた動画はAとBに見せていない。
何か、Aが頑なに自分が送ってないって主張し始めた辺りから、妙な悪寒がしてもう一度再生するのが怖かった。
Aの言う通り、五分くらいで動画で見た廃墟の前に到着した。
午後三時を過ぎているせいか、随分と陰気な雰囲気を醸しているが、所々明るい陽光の照り返しで眩しくもあった。
その眩しすぎる陽光のせいで影は一際暗かったが。
「ちょっと連絡してみる」
さっそく俺はAのラインに到着したという旨のメッセージを送った。
すると二秒と立たず『中』と返ってくる。
「返信はやッ」
Aの感想に俺も同意だ。
しかし、なぜ中に入らないといけないのだろう。
まさか、中に大勢の仲間が待機しているとか…?
そんな不安をAに相談してみると「…それはちょっと怖いな」と眉根を下げていた。
ひとまずスマホに備わってる通報機能の準備でもするとして、本当に中に入るのかとAに再度確認する。
「…てか、普通に声掛けたら返してくれないかな?」
すると、Aは少し廃墟に近づいてから「すみませーん、スマホを落とした者ですけど、今家の前にいるんで、返してくれませんかー?」と叫んだ。
もしかしたらBにも届くかもしれない声量だったので、仮に密閉状態の室内に居ても聞こえる筈だ。
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)