友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
「いや、スマホ落としたのにどうやって動画送ってきたんだよ」
『だから俺は送ってないって。つか、もしかして誰か俺のスマホ拾ってんのか?お前、俺のスマホから連絡来たの?』
「いや、まあ、ラインが来たよ。廃墟を回ってる動画。あれはお前が撮影したんだろ?」
『そうだよ。廃墟巡りしてたら二階で虫の集団と出くわして逃げ出したんだよ。つか、俺のスマホ拾った奴から連絡来てんなら、返してくれないか聞いてみてくれよ』
Aの口調は本当に焦っているようで、とても演技には思えなかった。
つまり、Aは本当に廃墟で心霊動画を撮影した後、そこにスマホを落としたということになる。
で、その廃墟にやってきた第三者がAのスマホを拾い、中身を見た後にラインを開いて俺にAが撮影した動画を送ったということだろうか。
俺はAに「ちょっと待ってろ」と言った後、Aとのライン画面を開き『すみません、それ友達のスマホなんですけど、もし拾ったなら交番に届けるか、直接返してくれませんか?』と送った。
仮にAが嘘をついていても別に構わないと思ったが、返信は相変わらず早かった。
『ここ』
二文字のメッセージを添えて、あの廃墟の外観を写した画像が添付されてきた。
『ここって、友達がそこでスマホを落としたみたいなんですけど、そこに取りに行けばいいんですか?』と送ると、『ここ』と同じメッセージが返ってくる。
もしかして、Aのような廃墟巡りを趣味にした人種か?それともホームレス?
そんな警戒心を抱きながら俺は『分かりました、そこに取りにいくので、着いたら連絡します』と送ると、メッセージは無いまま既読だけついた。
「あー、A?交渉したら、あの廃墟?まで取りに行く事になったけど」
『おー早いな、マジ助かる。今からでもいいの?』
「俺は別にいいけど、Bも行くの?」
『ちょっと待って』
通話の向こう側でAとBが喋ってる声が遠めに聞こえてくる。
『一緒に来てくれるって。つか車で送ってくれるって』
「そりゃありがてえな」
『いや、マジ助かるわ。帰りに〇〇とBに晩飯奢るわ』
「そりゃありがてえな!」
どうやらBが車で家の前まで迎えに来てくれるそうだ。
通話を一旦終えて、俺は外行きの服に着替えると、ベランダで煙草を吸いながらBの車が来るのを待った。
十分もしない内にBの車が来ると、助手席からAが手を振ってるのが見えたので、俺は部屋を出て下まで降りる。
Bの車の後部座席に乗り込むと同時にAから「マジ助かるよ」と大袈裟に拝まれたが、「晩飯でチャラな」と言えば「任せとけ」と言われた。
Bは「それで××方面でいいの?××小の橋渡った先の道?」とAに質問すると、Aは「そそ、その道をずっと行くと二又に分かれてんだけど……、まあ行きながら説明するわ」と座席に深く腰掛けた。
Bの運転に揺られてしばらく進んでいると、Aの言う通り二又に分かれた道が見えてきた。
山側に続く道に入ると、段々と閑散とした農村みたいな場所が続いていく。
そこから更に家屋が無くなるまで峠を進んでいくと、舗装されていない脇道のような入口が道路脇にある。
ただし、脇道は車が通れるほど広くもないし、舗装もされていないから木の根っこなどで道がデコボコしている為、とりあえず二車線くらいの幅がある道路の端に車を止める事にした。
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)