朽屋の身体は、先ほどダヴィデが切り倒した木の枝部分に落下していった。それがクッション替わりとなり、即死を免れることができた。だが、完全に意識は失われてしまった。
「オイ、とんだ邪魔が入ったぞ、なんだあの小娘は」
あっけにとられる悪魔たち。
「まだ息があります。アレも始末しますか?」朽屋を弓矢で狙うアスタロト。
それを止めるベールゼブブ。
「いや、待て。おもしろい。我らの魔力を込めた玉を受ければ、普通の人間ならば一瞬ではじけ飛んで死んでしまう。なのにあの小娘はまだ生きている。これはなにかある。殺すのはいつでもできる。しばし様子見するのはどうだ?」
真ん中の悪魔、ルキフェルが答える。
「フン、新しいオモチャが欲しくなったかベールゼブブよ。まぁよかろう、それもおもしろい余興ではある。ここ数百年というもの、骨のある者を見たことが無い。あの小娘がそうなる可能性があるというなら・・・猶予を与えてやろう」
「それでは、あの者はいかがいたしますか?ダヴィデとかいう神父崩れの・・・」
アスタロトが聞く。
「面倒だ。十数匹ほど、魔物でも送り出して好きにさせるが良い」
「御意」
「あの小娘は殺さぬようにな」ベールゼブブが笑いながら言う。
アスタロトが右手を開いて何かを投げるようなそぶりを見せると、
そこから小型のドラゴン、ワイバーン、悪霊、魔獣、その他
ワラワラと雑多な使い魔どもが20匹、30匹と現れ、教会周辺の空を覆いつくす。
それを見て冷や汗を流すルーカ神父。
「むぅ、私一人では・・・」
「フン。これでも勝てぬようなら、あのダヴィデと言う者、ただの雑魚。
拾う価値もない ーーーーー !?」
ルキフェルがそう言い終わるか終わらぬかというタイミングで、パラパラと流れるように銃声が響き渡った。
「なんだ?」
見ると、今しがた出した魔獣や使い魔たちが、1匹、また1匹と撃ち消されていく。
「銃・・・だと?そんなものが我々に効くはずが・・・」
「いや、待て。これは霊力を込めた弾丸だ」ベールゼブブが分析する。
1発の弾丸がルキフェルに向かう。
それを見つけて素手で弾丸を受け止めるアスタロト。
アスタロトの手の平は、貫通こそしなかったが、赤くただれ、大きくえぐれた。
「許さん、皆殺しにしてくれる! 」






















kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!