「やった、ルーカ神父の雷撃技! 」(これはライトニングボルトと名付けよう・・・と朽屋)
「カハァッ!!」クチから紫色の血反吐を撒き散らしながらながら、ダヴィデはまだ健在だ。
「とどめだ。ダヴィデ神父、今その呪いから解き放って差し上げましょう!」
ルーカ神父が3頭のガーゴイルに命じてダヴィデを襲わせる。
ガーゴイルの剣が三方向から同時にダヴィデの首を刺し貫く・・・・かと思われたが、
その瞬間、ガーゴイルたちが何者かに弓で射られて弾き飛ばされ、燃え上がった。
「なに!!」矢の飛んで来た方角を見るルーカ神父と朽屋。
そこには、空の上、何もないところに突然裂け目ができ、そこから弓を持つ手だけが飛び出していた。
「ハッ!!」朽屋は気が付いた。ダヴィデが何かを詠唱しているのだ。
「ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ・・・ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ・・・我は力を求め訴えるなり・・・ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ・・・」
空間の裂け目が大きく開き、三人の悪魔がこちらを覗き込んでいる。
ひとりは弓矢を持った端正な顔立ちの男。こいつが今、ルーカ神父のガーゴイルを一瞬にして射落とした者なのは確かだ。
真ん中には羊のようなカールしたツノと翼を持つ青年の姿をした悪魔が、そしてその隣には、巨大なハエの頭があった。それはもう見間違えようもない。蠅の王と恐れられたベールゼブブに違いない。
真ん中の悪魔がささやく。
「アスタロトよ。いつもながらに良い腕だ。・・・しかし、なんだアレは。珍しく聖職者が堕ちたというから見に来れば、押されているではないか。しかも我々に助けを求めているとはな。・・・まぁ良い。我らの力を少しだけ分け与えるとしよう。この極東の島国を地獄に落とすが良い」
三人の悪魔がそれぞれ指を差し出し、その中心に青い光が集まりだした。
それを見た朽屋は、突然走り出した。
「ダメ! 」
「朽屋クン、待て!危険だ、下がれ!!」
そう叫ぶルーカ神父の制止も聞かず、朽屋はダヴィデの足元に転がり落ちた短槍を拾い上げ、あろうことかそのままダヴィデの大きな背中に飛び移り、登り始めた。
悪魔たちの指先から青い光が放たれる。
が、そこには朽屋瑠子がいた。
ダヴィデの背中の上に立ち、短槍を天高く掲げ、先ほどまでダヴィデが詠唱していたのと同じ呪文を唱えていた。
「ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ、ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブ、我は力を求め訴えるなり、我に力を! 我に力を!!」
「な、何! 小娘!」朽屋の行動に気付くダヴィデ。だが、一歩遅かった。
天空の三人の悪魔が放った青い光の玉は、朽屋の短槍を伝い、朽屋の身体に強烈な光となって流れていった。激しい衝撃が朽屋の体を弾き飛ばす。























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!