(ごめんね・・・)
消える寸前のより子の潤んだブラウンの瞳が、涼の脳裏に刻まれる。
涼はこの時、唖然としながらも、言ってはいけないことを言ってしまったことに気付き、激しく後悔した。
ふたりの心模様を表すかのように、ポツポツと雨が降り始めていた。
地下室から武装を持って上がって来たルーカ神父と朽屋瑠子は、教会の隅で一人泣いているより子を見つけた。
「より子ちゃん、どうしたの!!」朽屋が心配して駆け寄る。
「ルコちゃん・・・私・・・私ね・・・」
「うん、なに?」
「人間じゃないの。生きてる人間じゃないの。幽霊なの・・・。」
「えっ、なに?・・・涼君に何か言われたの?」
「涼君に、幽霊だってバレちゃった・・・」泣きじゃくるより子。
そんなより子を抱きしめて、頭をよしよしとなでる朽屋。
「より子ちゃんはね、幽霊じゃないよ。天使さんなんだよ」
「天使・・・?・・・でも、涼君には嫌われちゃったもん・・・」
ルーカ神父がより子に声をかける。
「より子クン、彼、泣きながらキミのことを呼んでるよ。ごめんって謝ってるよ」
「本当?」
「嫌いになったら名前なんて呼ばないんじゃないかな?」
「より子ちゃんは涼君の事、嫌いになったの?」朽屋が問う。
首を振るより子。「・・・好き・・・」
「じゃあキマリだ。早く涼君の所へ戻ろう!」朽屋がより子を立たせる。
「急いだほうがいい。彼、あきらめて自転車に乗る所だ。帰ってしまうよ」
「よし急ごう!」より子を抱いたまま走りだそうとした朽屋。
「待ちなさい」それを止める神父。
「より子クン、君が天使ならば、翼があるはずだ。イメージしてご覧。強く思い描くことで、自分の姿はいくらだって変えられるんだよ。より子クン、キミに翼を授ける!」
光り輝きだしたより子の背中には、本当の天使のように翼が生えた。
朽屋は驚いてルーカ神父に問う。
「神父様、これが・・・イメージする力と霊力のコントロールが合致すれば、こんな魔法みたいなことができるんですね?」
「そうだよ、朽屋クン。キミにもそのうちできるようになる。
イメージする力こそが重要なんだよ。思いを形にするんだ」























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!