朽屋は内心思った(翼をさずける魔法・・・レッドブルと名付けよう・・・)
「ルコちゃん、神父様・・・わたし、涼君の所に行きます」
より子は祈りながらそう言って、ふらふらしながらも羽ばたいていった。
「朽屋クン、我々も行くよ。私の予想が当たっていれば・・・来る!」
「ハイ」
武装した二人が、より子の後を追うように教会を出る。
自転車に乗り、雨の中を走りだした涼は、ゆっくりと坂道を登っていた。
彼の瞳は、この日の雨では説明できないほど濡れていた。
より子は急いだ。教会から出たことのないより子は、彼の家すら知らない。
もしここで離ればなれになれば、もう二度と会えないと思ったのだ。
だから、意を決して教会の門を飛び出した。
・・・が、その瞬間!
「・・・出てはいけない!!・・・」
「・・・出てはいけない!!・・・」
「・・・出てはいけない!!・・・」
強烈な重低音のように、より子に圧が加わる。
「あっ・・・!!」衝撃でより子は墜落してしまう。
雨で出来た水たまりがより子を汚す。
「神父様、キタ!」朽屋瑠子も重低音に反応した。
「探せ、ガーゴイル!」ルーカ神父の命で3頭のガーゴイルが散る。
「より子ちゃん! 立って! 走って!」
「怖いよ、ルコちゃん!!」
「あの声は私と神父様でかならず止めるから、早く涼君を追って!」
「わかっ・・・た!」
泥だらけになりながらも、より子は立ち上がって、走った。
美しくかわいらしい天使のイメージはもうそこにはない。
ただひたすらに、一生懸命に走るだけの小さな子がそこにいた。
その時、ガーゴイルの一頭が怪しい動きを観測した。
学園内にある石碑から怪しい波動が出ている。
戦中に焼失した学校と犠牲者を弔うための石碑があるのだが、
そこから強い霊気が発せられている。
























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!